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はじめに
頸椎症は,病態や臨床的特徴に応じ,頸椎症性神経根症(cervical spondylotic radiculopathy:CSR),頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy:CSM),頸椎症性筋萎縮症(cervical spondylotic amyotrophy:CSA)に分類される.CSAは本邦からの報告が圧倒的に多く,三角筋や棘下筋,上腕二頭筋などのC5ないしC5/C6髄節が主に障害される近位型と,固有手筋,前腕筋などC8髄節が主に障害される遠位型に分けられる.上肢の筋力低下や筋萎縮を呈するが,感覚障害はないかあっても軽度であるため7,23),特に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)が重要な鑑別診断として挙げられる.
そのほか,頸椎症の鑑別診断において重要なものとして,絞扼性ニューロパチーを代表とする種々の末梢神経障害,神経痛性筋萎縮症5)や真の胸郭出口症候群22),Parkinson病や大脳皮質基底核症候群などが挙げられる9,11).また,頸椎症は急性発症のエピソードで受診する場合もあるため,脳血管障害やGuillain-Barré症候群なども鑑別に挙がることがある2,8).
これら頸椎症と紛らわしい疾患との鑑別においては,病歴や神経学的所見,特に筋力低下や感覚障害の分布,腱反射を正確に評価することが最も重要であることはいうまでもないが,神経伝導検査(nerve conduction study:NCS)や針筋電図をはじめとする電気生理検査は補助的な診断ツールとして役立つ.本稿では,実際の症例も提示しながら,電気生理検査を用いた頸椎症の診断および頸椎症と紛らわしい疾患との鑑別診断にあたっての診療ストラテジーについて詳述する.
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