特集 周術期の抗血栓薬 休薬? 継続?
緒言
酒井 紀典
1
Toshinori SAKAI
1
1徳島大学病院高度先進整形外科診療部
pp.1209
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600111209
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現在,整形外科手術の対象は高齢患者が中心となり,心・脳血管疾患の既往により抗血栓薬を内服している症例も増加しています.一方で,周術期管理においては,出血性合併症を防ぐための“休薬”と,脳梗塞や心筋梗塞といった血栓性イベントを回避するための“継続”との間で,われわれは常に慎重な判断を迫られます.
実臨床では,「出血を懸念して休薬したが,術前に脳梗塞を発症した」「継続を選択したが,硬膜外血腫で再手術となった」といった事例も決して稀ではありません.患者背景や併存疾患,術式の侵襲度,麻酔法やドレーン管理など多くの要素を総合的に評価し,最適な方針を導き出す力が今まさに求められています.

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