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脊椎骨を切除して脊柱を短縮するという考えは新しいものではない.1928年にRoyleは先天性側弯症に対する半椎切除術を初めて記載している.Hibbs(1911)が脊柱変形に対して後方固定術を行って間もない頃,Risser(1955)がcorrective castを使用して特発性側弯症を矯正したはるか以前のことである.脊柱短縮術は脊髄や馬尾に張力をかけないで変形矯正できるという利点がある.その後も,脊柱短縮術は脊柱変形を矯正する技術として引き継がれてきた.Heiningは骨粗鬆症性椎体圧壊に対し,経椎弓根的に骨切除を行い,卵の殻をつぶす(eggshell procedure)ようにして罹患椎体を短縮し,除圧と変形矯正をはかる手術を行った.脊椎インストゥルメンテーションが発達する以前のこれらの手術には大変な困難が伴ったものと推察される.その後,半椎切除術は脊椎インストゥルメンテーションを併用するLeatherman and Dickson(1979)の方法へと進化した.
Gaines procedureは高度の腰椎分離すべり症である腰椎下垂症Spondyloptosisの治療法である.仙骨の前方,骨盤内に落ち込んだL5椎体を前方進入で切除したのち,後方からL4以上の脊柱を仙骨の上で背側に移動して腰仙部を固定する手術である.Gaines procedureは腰椎の前後の変位を矯正する変形矯正のための脊柱短縮術である.このように脊柱短縮術の対象となる病態は様々であるが,これまでは変形矯正という共通の目的をもっていた.これに対し,ShimizuらはL6の骨巨細胞腫に,脊椎全周切除と短縮術を行い,変形矯正を伴わない,純粋に脊柱を短縮して再建するという方法を示した.脊柱短縮術は,移植骨が最小限ですみ,内固定を最小化,単純化できるという利点をもつ.
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