誌上シンポジウム Life is Motion—整形外科医が知りたい筋肉の科学
緒言
柏口 新二
1
1JCHO東京新宿メディカルセンター整形外科
pp.838
発行日 2015年9月25日
Published Date 2015/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200315
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整形外科医が扱う組織には,骨や軟骨といった硬組織と腱・靱帯・神経といった軟部組織がある.筋肉は人体の中で最大の体積を有する軟部組織であり,関節を動かす際や脊柱を支える際の力源として大いに活躍している.しかし日常診療では肉離れや軟部腫瘍などに限られ,治療対象となることは少ない.整形外科医は運動器の専門家であるが,筋肉についての知識レベルは学生時代に解剖学や生理学で学んだ状態で止まっており,特にトレーニングの理論や実践については素人同然である.ちまたにはダイエットやトレーニングに関するさまざまな情報が氾濫しているが,その真偽を識別して,正しい情報を患者や選手に提供するだけの知識や経験を持ち合わせていない.今回,5名の専門家にそれぞれの立場から整形外科医にぜひ知ってもらいたい筋肉に関する情報を紹介していただいた.
アリストテレスは多くの名言を残しているが,“Life is Motion”も人の生き方の指針を示している.Lifeは生命や生活だが,人生や生き方という意味にも拡大解釈できる.そしてMotionは身体活動だけでなく精神活動を含む,深遠な意味が込められているように思う.運動器に関わりの深い整形外科医にとって大変意味深いセンテンスである.私は健康運動教室の担当部長としては「ピンピンコロリ」と訳し,アスリートを治療するスポーツドクターとしては「動中静あり,静中動あり」と訳した.さて皆様はどのように解釈するだろうか.
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