増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
胆
肝門部胆管癌手術
水野 隆史
1
,
尾上 俊介
1
,
渡辺 伸元
1
,
山田 美保子
1
,
川勝 章司
1
,
江畑 智希
1
Takashi MIZUNO
1
1名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科
pp.181-184
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110181
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術前管理
●閉塞性黄疸と胆道ドレナージ
閉塞性黄疸を呈する患者の減黄治療として胆道ドレナージが行われる.減黄前のCT画像を参照して肝切除術式を決定し,原則,予定残肝側のみ胆道ドレナージを行う.内視鏡的胆道ドレナージを第1選択とし,経鼻内視鏡的ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage:ENBD)またはinside-stentを挿入する.Stent下流側端が遠位胆管内に留置されるinside-stentは,stent流側端が十二指腸乳頭を超えて十二指腸内に留置される従来型のstentに比し,チューブ閉塞のリスクが低いことが報告されている1).
Inside stentを含む内瘻化ドレナージは患者の身体的・精神的負担が少なく,胆汁返還を必要としない一方で,胆汁排出量やドレナージ状態の評価が難しく,胆汁監視培養が行えないという欠点が存在する.ENBDは胆汁が外瘻化されるため,予定残肝から排出される胆汁の量,濃度や性状の評価が可能であり,定期的な胆汁の監視培養が施行できる利点があるが,胆汁の返還を要すること,チューブ留置に伴う不快感が強く,長期留置に向かないという欠点が存在する.

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