増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
胆
胆囊摘出術
川本 裕介
1
,
本田 五郎
1
Yusuke KAWAMOTO
1
1東京女子医科大学消化器・一般外科
pp.177-180
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110177
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術前管理
●手術適応と術式
日本内視鏡外科学会のアンケート集計結果によると,2023年に行われた胆囊摘出術のほとんどが腹腔鏡下に行われており,腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy:Lap-C)の占める比率は94.2%と報告されている1).そこで本稿ではLap-Cの周術期管理について解説する.なお,胆囊摘出術の適応となる疾患は,胆石症や胆囊腺筋腫症,急性・慢性胆囊炎,胆囊ポリープや胆囊癌疑診病変,そして早期胆囊癌などであるが,胆囊癌や疑診病変に対する胆囊摘出術では意図的に全層での胆囊切除が行われたり,リンパ節郭清が追加されたりするため,良性疾患に対するLap-Cを想定した内容とする.また,急性胆囊炎に対しては,ガイドライン上でも臓器障害を伴うような重症(Grade Ⅲ)の場合を除き,耐術可能と判断されれば発症からの経過時間にかかわらず早期の手術が提案されており2),昨今では緊急手術の対象となることが多い.そのため,待機的手術と緊急手術での周術期管理の相違についても言及する.

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