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あとがき
稲木 紀幸
pp.1136
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800091136
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消化器癌の手術は,大きく「郭清」と「再建」に分けられます.前者は癌を治すために,腫瘍やリンパ節を正確に切除する根治性の追求であり,後者はその代償として失われた解剖構造や機能を,できる限り回復(再構築)させることを目的としています.同じ手術のなかで,性質の異なる2つの手技が連続して行われる——これが,消化器外科の面白さであり,難しさでもあると感じています.
郭清では,腫瘍の進展範囲やリンパ流のパターンを踏まえた合理的な切除が求められます.一方,再建は「術後の消化機能の温存・回復」が本質であり,病態や個体によって個別な対策が必要なことが多く,柔軟性と創造性が問われます.たとえば噴門側胃切除後の再建においては,SOFY法,ダブルフラップ法,空腸間置法,ダブルトラクト法など,実に多彩な術式が存在しています.どの術式も,それぞれの施設・術者が試行錯誤の末に生み出してきた最適解であり,術後の逆流防止やQOL向上に向けた工夫が随所に盛り込まれています.

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