Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
三島由紀夫の『春の雪』—狂人ならざる狂気
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.978
発行日 2026年9月10日
Published Date 2026/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540090978
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三島由紀夫が昭和44(1969)年に発表した『豊饒の海』第一巻の『春の雪』(新潮社)には,若き日の綾倉聡子が実際には狂人ではないのに狂人に仕立てられる場面がある.
『春の雪』では,松枝侯爵家の清顕が,宮家との婚約が内定していた綾倉伯爵家の聡子を妊娠させてしまう.このただならぬ事態に驚愕した松枝・綾倉両家は,極秘裡に聡子に中絶させるものの,その直後,聡子は自らの意志で月修寺に出家してしまうのである.
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