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編集後記
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pp.440
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530040440
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明治時代の俳人・歌人正岡子規.「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも」という歌をつくったほどの野球好きで,baseballの邦訳を「野球」とし,日本語の野球用語を考案したことでも知られています.野球大好きなわが家の小学生がちょうど俳句について学んでいたこともあり,行ってきました,子規のお墓参りへ.JR駒込駅から徒歩10分,大龍寺の墓地の中ほど,赤煉瓦塀を背景に竹藪が生い茂る一角に子規の墓はあります.右手にはご母堂,左手にはおそらく妹 律さんのお墓があり,さらに手前に本人直筆の,身の上や月給まで詳細が書かれた墓誌銘が配置されています.
息子の国語の成績が上がりますように,と手を合わせたところでふと,少年たちの掛け声と金属バットの小気味よい打球音に気づきました.なんと,子規の墓所の左手に野球場があるのです(北区立田端中学校の校庭とのこと).子規の晩年の脊椎カリエスの苦しみ,そして兄の看護に青春を捧げた律さんの献身はNHKドラマ「坂の上の雲」での香川照之さん・菅野美穂さんの熱演もありとても印象深いものであり,子規が肉体を失ったのち,自由な魂で野球を大いに楽しんでいるのでは…と思うと非常に感慨深いものがありました.

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