Japanese
English
特集 重複障害のリハビリテーション
重複障害とは何か?
Introduction of multiple disabilities
西嶋 一智
1
Kazunori Nishijima
1
1宮城県リハビリテーション支援センター
1Rehabilitation Support Center, Miyagi Prefectural Government
キーワード:
障害認定
,
重複障害
Keyword:
障害認定
,
重複障害
pp.865-870
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530090865
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
重複障害とは一般に複数の障害を併せもつ状態のことをいう.どの障害を対象に重複を数えるか,その範囲には統一された明確な定義はなく,行政においても領域によって異なっている.
障害者福祉は身体障害者福祉法(1949年制定),知的障害者福祉法(旧精神薄弱者福祉法,1960年制定),精神保健福祉法(旧精神衛生法,1950年制定)の3つの法律が基礎となっている.これら3つの法律に基づいて身体障害,知的障害,精神障害の三障害が定義され,障害認定,実態調査,施策立案などがなされている.そのため,これら三障害は基本的に別個の障害と捉えられ,例えば身体障害と精神障害をまとめて行政が取り扱うことはほとんどない.障害者総合支援法(旧障害者自立支援法,2005年制定)によりサービス利用など三障害で共通している運用については取りまとめて行うようになっているが,完全な融合には程遠い.
一定の障害を有する者は,法の定めにより障害者として特別な援護を受ける権利を獲得するが,障害者であることを証明する書類として障害者手帳が交付される.法的には障害者とは障害者手帳を取得した者となっているので,障害者手帳は障害者のパスポートと言えよう(2012年の障害者総合支援法の改正により,難病患者は障害者手帳の取得の有無によらず,障害者に含まれるようになっている).その認定は機能障害を中心に能力低下の要素を加味した認定基準に従って行われ,認定基準には障害の程度に応じた等級が示されている.それにより,障害者手帳の交付の対象となるminimum impairmentの程度も定められている.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.