連載 わたしたちのメンタルヘルスケア・第6回
介護スタッフのメンタルヘルスケア・サポート
吉川 悠貴
1,2
Yuki Yoshikawa
1,2
1東北福祉大学総合福祉学部
2認知症介護研究・研修仙台センター
1Faculty of Comprehensive Welfare, Tohoku Fukushi University
2Sendai Center for Dementia Care Research and Practices
キーワード:
介護
,
ストレス反応
,
チーム
,
虐待防止
Keyword:
介護
,
ストレス反応
,
チーム
,
虐待防止
pp.223-226
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530020223
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介護スタッフのストレス状況とストレス反応
公益財団法人介護労働安定センターが毎年度実施している「介護労働実態調査」によると,介護従事者がさまざまな側面でストレスを抱えやすいことが明らかになっている.令和5(2023)年度の同調査1)によれば,悩みや不安・不満を「感じていない」人の割合は,「労働条件・仕事の負担」で12.0%,「職場の人間関係」で36.3%,「利用者や利用者の家族について」で25.3%といずれの側面においても少数派にとどまっている.
一方,同調査のなかでは,多くの介護従事者は仕事に一定のやりがいをもって取り組んでいることも示されている.しかし,前述のような不満やストレスを感じることが多いと,そうしたやりがいをもっていても適切な仕事が行いにくい状態になることがある.例えば,利用者と向き合うことを避けたり,決められた仕事だけを時間内に終わらせることを優先したり,上司や同僚との報告・連絡・相談を怠ったり,といった状態である.また,利用者に対して強引なケアを行ってしまったり,つい強い口調になってしまったりするようなことが,ストレス反応として生じてしまう場合もある.このような状態が続くと,少しの手抜き,消極さ,強引さがいつしかエスカレートして,「虐待」と呼ばれるような行為となってしまう可能性も出てくる(図)2).
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