連載 チーム医療を支えるリハビリテーション看護・第5回
高次脳機能障害患者に対するリハビリテーション看護
原田 めぐみ
1
Megumi Harada
1
1岐阜県立看護大学地域基礎看護学領域
1Community-based Fundamental Nursing, Gifu College of Nursing
キーワード:
脳卒中
,
脳外傷
,
高次脳機能障害
,
回復期
Keyword:
脳卒中
,
脳外傷
,
高次脳機能障害
,
回復期
pp.219-222
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530020219
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
脳卒中や脳外傷は突然に発症し,その合併症は麻痺や嚥下機能障害など多岐にわたる.そのなかでも重要なものの一つに高次脳機能障害がある.高次脳機能障害は記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害といった認知障害などを指し,日常生活において大きな支障をもたらす場合があるが,一見してその症状を認識することが困難である.
脳卒中や脳外傷の患者の多くは急性期治療の後,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)において最長180日の入院期間でリハビリテーションを行う.回復期では,日常生活動作(activities of daily living:ADL)が向上することで,急性期には明らかになっていなかった高次脳機能障害が出現することが多い.そして高次脳機能障害は,その特性から周囲の理解が得られにくく,日常生活や就労において支障を来す場合がある.そのため,看護職は入院直後の亜急性期から患者の心身を整えるとともに,高次脳機能障害によって生じ得る患者にとっての困りごとや生活の困難さを理解する必要がある.さらに,患者自身が高次脳機能障害の生活への影響を認識し,代償能力の獲得や主体的に生活を再構築できるように,家族も含めて支援することが求められる.
本稿では,回復期病棟での事例を通して,高次脳機能障害をもつ患者に対するリハビリテーションにおける看護のポイントを述べる.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.