巻頭言
リハビリテーション医療者はどのように社会に貢献していくのか
川上 途行
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.121
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530020121
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「なぜ,リハビリテーション科を選んだのですか?」,「どのような医師をめざしていますか?」と尋ねられることもあるし,尋ねることもある.若い先生から返ってくる立派な答えに身が引き締まる思いになることが多いのだが,一方で,「今,きちんと答えられなくてもいいよ」と声をかけたくなるときもある.それは,強い意志をもってこの世界に飛び込んだわけでは決してなかった自分自身への弁解のようなものでもあるが,とは言え,尊敬する先輩方にお話を伺っても,やはり「初志貫徹」ということが社会貢献や自己実現の唯一の道ではないと感じる.
「リハ医よ,流されよ」
と,僕は訴えたい.リハビリテーション医療はとにかく幅が広い.広いうえに底も深い.急性期から回復期,生活期にわたり,予防,介護,ヘルスケアにもまたがる.疾患はすべてカバーしないといけない.社会と密接にかかわる医療なので,制度設計や経済性という視点も重要である.哲学的とも芸術的とも言われ,経験を積めば積むほどに多くの異分野と融合していく必要性を痛切に感じる.
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