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国の機関としての役割
西武新宿線航空公園駅からけやき並木を15分ほど歩いたところ(埼玉県所沢市)に,国立障害者リハビリテーションセンター(以下,国リハ)は所在する。旧日本陸軍飛行場跡地,大戦終結後の米軍補給廠(しょう)跡地であった土地(東京ドーム約5個分の広さ)の中に,自立支援局,病院,研究所,学院の4つの大きな機能を備え,1979年の開所以来35年を経過するに至っている。2014年には,病院棟の耐震化工事に伴う敷地内移転も終わり,2016年には国立伊東重度障害者センター(静岡県伊東市所在)との統合により,頸髄損傷者の支援も拡充されることになるので,機能面での変革,充実が求められる。
本特集が企画された意図である公的機関は地域における役割を担ってきたのか,あるいはどのような点で貢献してきたのかについては,当然,地域住民の期待度との相関関係を分析しなくてはならないが,開所以来,この古くて新しい課題に向き合い続けているというのが偽らざるところである。入所についての相談や病院外来の受診相談での基本的訴えには,障害になった後の生活をどのように組み立てていけば良いかという不安が心の根底にある。これに応えるのがリハの最終的な目標であるので,最後にどこかの地に生活基盤をおく前提で,国の唯一の機関である国リハが日本全国の方々を網羅的に対象としなければならないことは言うまでもない。1966年11月および1970年8月の身体障害者福祉審議会において,各種リハ施設のモデルとして,「身体障害者の医療から職業訓練までを一貫して実施する国立施設を設けるべき」との答申がなされ,その産物として生まれたのが国リハである。2008年10月には,身体障害中心から障害全体を視野に入れたナショナルセンターへ機能を再編するため,組織名称を「国立身体障害者リハビリテーションセンター」から「国立障害者リハビリテーションセンター」へ変更されたが,その使命に変わるところはない。
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