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先日ロサンゼルスで開催されたPSMA&Beyond Conference 2025に参加してきました.ご承知の通りPSMA(Prostate Specific Membrane Antigen : 前立腺特異的膜抗原)は前立腺癌の90%以上で発現している膜タンパクで,Theranostics(治療Therapeutics+診断Diagnosticsの造語)の標的分子として注目されています.欧米を中心に,前立腺癌の診断・治療に広く応用され,PSMA-PETを用いた画像診断やβ線放出核種ルテチウム―177(177Lu)を用いたPSMA放射線内用療法が行われています.画像診断ではこれまで同定できなかった術後生化学的再発や転移巣を容易に同定できると言われていますし,治療においては新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)やタキサン系抗がん薬に抵抗性の転移巣が,劇的に消失する症例も報告されています.わが国でも近い将来導入されることが噂されています.
本研究会では,PSMA放射線内用療法の今後の展望として,現在進行中の臨床研究や基礎研究も紹介されていました.もともとは転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に対する2nd line,3rd lineの治療として報告されましたが,mCRPCに対する1st line治療,去勢感受性前立腺癌に対する1st line治療,限局性前立腺癌治療後の生化学的再発のみならずneoadjuvantやadjuvant療法の臨床研究も進行中とのことです.また,ARSI,免疫チェックポイント阻害薬(ICI)との併用療法に関する臨床研究,臨床応用が始まっているα線放出核種225Acや,67Cu,161Tb,212Pbなどの核種を用いた次世代PSMA放射線内用療法に加えて,開発中のPSMA放射線抗体療法の講演もありました.

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