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編集後記
小島 祥敬
pp.288
発行日 2016年3月20日
Published Date 2016/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205572
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先日NHKで,「10年後の未来へ─神戸と福島をつなぐ子どもたち」という番組が放送されました.今も避難生活が続く福島県浪江町の人が暮らす仮設住宅や,立ち入り制限が続く南相馬市を訪れた,神戸(阪神淡路大震災の被災地域)の小学生と,地元の小学生の交流を描いたドキュメンタリー番組でした.番組のなかで,地元の小学生の女の子が,同情してもらうことへの感謝の気持ちがある一方で,同情されてしまうことの複雑な心境を涙ながらに吐露する場面があり,心を打たれました.「彼女の涙は何色か…?」.神戸の小学校の先生が,子どもたちに問いかけた一節です.
本年3月11日をもって東日本大震災から5年が経ちます.ご承知のとおり,福島県では震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により,甚大な被害を受けました.いまだに故郷に帰還できない方々がたくさんいらっしゃいます.除染廃棄物や中間貯蔵施設の問題,放射線の健康リスクの問題は,すぐには結論が出そうもありません.そして,福島県に対する風評被害がいまだに続いています.
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