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2013年に某私立中学の理科の入学試験で,以下の問題が出題されました。“右図は,99年後に誕生する予定のネコ型ロボット,「ドラえもん」です。この「ドラえもん」がすぐれた技術で作られていても,生物として認められることはありません。それはなぜですか。理由を答えなさい。”皆さんのご解答はいかがでしょうか。
さて,今月号の特集は,「ロボット時代の泌尿器科手術—前立腺癌に対する新たなスタンダード」でした。そもそもロボットという言葉の由来はなにか。Wikipediaによると,1920年にチェコスロバキアの小説家カレル・チャペックが発表した戯曲『R.U.R.』のなかで,ロボットという言葉が初めて登場したようです。「労働」を意味するチェコ語“robota”がその語源になっているそうです。実際に『R.U.R.』において登場するロボットは,原形質を化学的合成で似せてつくった,人間とは異なる組成の肉体と人間そっくりの外見を持つもので,SFでいうバイオノイド(有機的人造人間)だそうです。私がロボットといわれて思い出すのは,子供のころ熱中したマジンガーZやガンダムなどで,操縦席に,兜甲児やアムロ・レイが座り,巧みなテクニックでロボットを操縦し,敵(悪)を退治するいわゆる操縦士一体型ロボットです。一方,チャペックが描いていたロボットは,自分の意志で体を動かすことができる自己完結型ロボットと思われ,鉄腕アトムやドラえもん(無機的人造人間)もそういう意味ではこれに当てはまります。しかし,今日私たちが用いている手術用ロボットda Vinciは,もともと米国本土または米国空母から,遠隔操作で戦場の負傷者に対して手術を行うことを目的として開発されたもので,人間の操作を必要とするいわゆる遠隔操作型ロボットです。そう考えると,まだまだda Vinciは,未来をテーマにしたアニメからすれば,発達途上の“おもちゃ”にすぎないのかもしれません。いずれ鉄腕アトムやドラえもんが,癌を退治してくれる日がくるのかもしれません。
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