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編集後記
小島 祥敬
pp.536
発行日 2021年6月20日
Published Date 2021/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207281
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私が最初に海外の英文雑誌に投稿したのは症例報告です(J Urol 159 : 1294, 1998).当時はオンライン投稿などないため,投稿も査読の返事も郵送でした.論文修正と再投稿を行い,最後に論文受理の手紙をもらったときは,開封する手が震えました.その感触・感動は今でも忘れません.しかし最近は,IJUのように別雑誌として若手に症例報告の投稿機会を与えてくれる雑誌はあるのですが,多くの海外雑誌では認めていません.
泌尿器科の英文雑誌のなかには,基礎研究の投稿さえも受け付けなくなった雑誌があり,若い先生が投稿先の選択に苦慮しているようです.かつてimpact factorを気にするあまり,泌尿器科医が絶対に読まないだろう雑誌へ投稿をしている若い先生をみて,論文執筆の意義をはき違えているのではないかと思いました.雑誌が自ら苦労して行った研究を表現する場でなく,業績を上げるための手段になっているようにさえ思えました.しかし現実問題として,基礎研究の成果を投稿できる泌尿器科の雑誌が減少する現状には,困ったものです.泌尿器科の雑誌が,基礎研究を軽視し雑誌の客観的評価のみを気にしていることの現れのような気がしてなりません.
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