Japanese
English
特集 味と匂いの脳科学
Ⅱ.脳における味と匂いの情報処理と行動発現
副嗅覚系を介した防御行動制御の神経機構
Predator defensive responses mediated by the accessory olfactory system in mice
山中(𡌶) 紗智子
1
Haga-Yamanaka Sachiko
1
1Department of Molecular, Cell and Systems Biology, University of California Riverside
1Department of Molecular, Cell and Systems Biology, University of California Riverside
キーワード:
副嗅覚系
,
捕食者の化学シグナル
,
視床下部
,
防御行動制御
,
鋤鼻器官
Keyword:
副嗅覚系
,
捕食者の化学シグナル
,
視床下部
,
防御行動制御
,
鋤鼻器官
pp.330-335
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760040330
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動物は,他の個体から発せられる多様な感覚シグナルを受容し,それに応じた適切な行動を選択することによって,社会的環境のなかで生存している。とりわけ,被捕食動物にとっては,捕食者が発する感覚情報を適切に処理し,状況に応じた最適な防御行動を迅速に選択・実行することが,個体の生存,ひいては種の存続にとって極めて重要である。そのため,このような行動制御を担う神経回路は,被捕食動物の脳内に先天的に備わっていると考えられている。夜行性の齧歯類にとっては,視覚や聴覚に加え,捕食者が発する化学シグナルが極めて重要な手がかりとなる。しかし,これらの化学シグナルがどのように感知され,防御行動の選択に影響を及ぼすのかについては,依然として不明な点が多い。
近年,筆者らは,マウスを用いた研究において,副嗅覚系を介して受容された捕食者由来の化学シグナルが防御行動の制御に関与することを明らかにした1)。本稿では,この研究成果を紹介し,それに基づく神経機構のモデルを提案する。

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