Japanese
English
特集 味と匂いの脳科学
Ⅰ.味蕾・嗅上皮から脳への神経回路と情報伝達
嗅覚神経回路の形成を支える転写後制御機構
Posttranscriptional regulation of neural mRNAs underlying olfactory circuit formation
福田 七穂
1
Fukuda Nanaho
1
1新潟大学脳研究所動物資源開発研究分野
キーワード:
嗅細胞
,
RNA結合タンパク質
,
転写後制御
,
神経接着因子
,
神経回路形成
Keyword:
嗅細胞
,
RNA結合タンパク質
,
転写後制御
,
神経接着因子
,
神経回路形成
pp.308-311
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760040308
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
神経回路の形成過程において,神経細胞は軸索を標的領域に向けて伸長し,適切な細胞とシナプス接続を確立する。この際,軸索末端で機能するタンパク質の多くは細胞体から供給されるが,一部は局所翻訳と呼ばれる転写後制御機構によって,軸索末端に局在化されたmRNAから合成される1,2)。軸索における局所翻訳は,損傷シグナルの伝達に関与するほか,成長円錐の伸展や前シナプスの構造変化を促し,神経回路の形成と維持に寄与することが明らかになりつつある3,4)。
最近になって,嗅上皮と嗅球とをつなぐ一次嗅覚神経回路の形成においても局所翻訳の制御が必要不可欠であることがわかった。本稿では嗅細胞における局所翻訳の制御とその役割について概説する。

Copyright © 2025, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.