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特集 ストレス蛋白質
ストレス蛋白質を介した癌増殖制御機構
Regulation of tumor cell growth mediated by stress proteins
鳥越 俊彦
1
,
曽ヶ端 克哉
1
,
佐藤 昇志
1
,
菊地 浩吉
1
Toshihiko Torigoe
1
,
Katsuya Sogahata
1
,
Noriyuki Sato
1
,
Kokichi Kikuchi
1
1札幌医科大学第一病理学教室
pp.333-337
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900931
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HSP(Heat Shock Protein)は分子シャペロンとして細胞内でさまざまな蛋白質と会合し,その分子の安定化や機能に関わっている。近年,癌化シグナルや細胞増殖のメカニズムが解明されるにつれ,HSPが癌遺伝子産物,癌抑制遺伝子産物,細胞周期制御蛋白質とも会合し,それらの機能と密接に関わっていることが知られてきた。実際にストレスが細胞分裂を誘導したり,逆に細胞を分化させて分裂を停止させたりすることは古くから知られていたが,このような現象はHSPが細胞の増殖や分化に重要な役割を果たしていることを示唆している。また腫瘍組織やトランスフォームした細胞のように細胞増殖が活発な細胞,組織にHSPが高発現していることも,決して無関係の現象ではない。
本稿では最も解析のすすんでいるHSP70とHSP90とに焦点をしぼり,それらがどのように癌化シグナルや細胞周期制御機構と関わっているのか,われわれの実験結果もまじえながら最近の知見を概説する。
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