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特集 脂質ワールド
Ⅲ.新規脂質メディエーターと受容体
脂質を介した腸管免疫の制御と疾患・生体防御
Lipid-mediated immune regulation for the control of immune diseases and surveillance
平田 宗一郎
1,2
,
國澤 純
1,2,3,4
Hirata Souichiro
1,2
,
Kunisawa Jun
1,2,3,4
1国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチンマテリアルプロジェクト
2神戸大学大学院医学研究科
3東京大学医科学研究所炎症免疫学分野/国際粘膜ワクチン研究開発センター
4大阪大学大学院医学系研究科・薬学研究科・歯学研究科
キーワード:
腸管免疫
,
食用油
,
アレルギー
,
抗体
Keyword:
腸管免疫
,
食用油
,
アレルギー
,
抗体
pp.242-246
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200445
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消化器の一つである腸管は食物の消化や吸収を担う組織であるが,同時に生体内の免疫細胞のうち60%以上が集積する最大の免疫器官でもある。腸管に存在する免疫システム(腸管免疫システム)は,病原細菌やウイルス,寄生虫などの病原微生物に対しては排除する方向に働く一方で,生体にとって有益な異物である食事成分や腸内細菌に対しては,寛容や不応答を誘導することで吸収や共存を可能としている1)。このような巧みな免疫制御は,腸管免疫システムを構成する様々な免疫細胞が協調的に働くことで実行されているが,一たびこのバランスが崩れると,食物アレルギーや炎症性腸疾患のような免疫疾患,もしくはロタウイルスや病原性大腸菌に代表される腸管感染症の発症につながる1)。これまでに,腸管免疫システムを制御する因子として様々なものが同定されているが,その中で脂質の重要性を示す知見が多く得られている。近年のリピドミクス解析技術の向上もあり,脂質と腸管免疫との関連について分子,細胞,生体レベルでの解明が可能になりつつある。本稿では,脂質による腸管免疫システムの制御と免疫疾患,生体防御との関連について,最新の筆者らの知見を交えて紹介したい。
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