連載 Go to the people——バングラデシュと共に歩んだ私の国際保健50年
第三十編
石川 信克
1,2
1公益財団法人結核予防会
2結核予防会結核研究所
pp.1127-1132
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890121127
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ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの登壇
2017年までにDOTS(directly observed treatment, short course)はバングラデシュ全国の郡保健センターおよび都市部での体制が出来上がってきた。私のチッタゴン市やダッカ市の結核対策への支援も一区切りついた。一方、世界の保健政策は2017年以来、SDGsへの呼応として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage: UHC)をキーワードに展開され始めていた。それは後に日本の政府開発援助(official development assistance: ODA)や国際協力のキーワードにもなっていった。
UHCとは、全ての人が、経済的な困難を伴わずに保健医療サービスが受けられる仕組みのことであるが、私はこれをPHC(プライマリヘルスケア)の機能拡大で、サービス提供者側の責任に重点が置かれているものだと見ている。日本に当てはめるなら国民皆保険+社会保障制度の確立で、日本はUHCが確立されたモデルとも言える。

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