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マニックガンジ郡における結核有病率調査
文部省研究班の小関勇一氏(予防衛生研究所)による調査が始まり、マニックガンジ郡での住民の疫学調査の手伝いをすることになった。そこはダッカより西50キロメートルの187村より成り、人口は15万人の純農村地域であった。数年前よりNGOのBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee:第16編脚注)がほぼ全域で貧しい農民を対象にしたショミティ(グループ)作りによる地域開発プロジェクトを実施していた。ダッカの中央結核センターとBRACが地域との交渉をし、結核予防会(National Anti-Tuberculosis Association of Bangladesh: NATAB)が技術提供、現場の活動はBRACの地域ワーカーたちが担当し、予算は小関研究班が出した。実質的には私が企画のアイデアを出し、助手の統計専門家ヌルル・イスラム氏が統計的処理をした。政府統計より50の村を抽出、その村の14歳以上の住民台帳を作成、7,000人の各家を回って、1カ月以上の咳が出ている有症状者リストを作成した。症状ありと答えた1,405人から朝の痰を出してもらい、835人が痰を提出できた。痰はその日または翌日ダッカの中央結核センターに運び、小関医師の指導の下結核センターの検査技師が塗抹検査、培養検査を行った。これらの段取りは、センターの所長代行ノビ医師が責任をもって推進した。
調査の結果としては、24人の痰が結核菌塗抹陽性と判明した。これから、塗抹陽性有病率0.35%(10万対350)という高い値が推定された。直接比較は難しいが、20年前の国全体の調査では、0.2%であったので、かなり高いまん延状態が続いていると言える。
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