連載 Go to the people——バングラデシュと共に歩んだ私の国際保健50年
第二十九編
石川 信克
1,2
1公益財団法人結核予防会
2結核予防会結核研究所
pp.1024-1029
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890111024
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ダッカの結核対策は、都市結核のモデル?
2010年代に驚異的な仕組み作りが出来上がってきたダッカの結核対策は、途上国の都市の結核対策のモデルともいえる仕組み作りに成功したと思えた。これを何とか論文にまとめたらどうかと関係者にけしかけたが、結核対策課も、BRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)も世界保健機関(World Health Organization: WHO)のコンサルタントも対応できないまま時がすぎていった。本来なら結核研究所の私がまとめてあげるべきであったが、私もできなかった。理由は、私はこの仕組みの充実、質の向上を図った中心人物でなく、サイドから支援をしていただけだったので遠慮していたのと、超多忙な仕事に追われて余裕がなかったからだった。今から考えると誠に残念で悔やまれる。
ダッカ市の結核対策への支援が一区切りついたので、2017年以降は、バングラデシュ全体の新しい課題、結核とユニバーサルヘルスカバリッジ(UHC)や、患者の生活を脅かす危機的出費(catastrophic cost)などのテーマでワークショップを持った。それらについては次号に譲る。

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