映画の時間
天使に扮した泥棒とサーカスの女性とのロマンティック・ファンタジー—フィフィ大空をゆく4K
桜山 豊夫
pp.1133
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890121133
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今月ご紹介する『フィフィ大空をゆく』は1965年に公開され、大ヒットした映画です。監督のアルベール・ラモリスは映像の詩人とも言われ、『赤い風船』(1956年)でカンヌ国際映画祭短編パルム・ドール(最高賞)を受賞したほか、アカデミー賞脚本賞をはじめ多くの映画賞を受賞しました。少年と風船の不思議な交流を描いたこの作品で高い評価を得たラモリス監督が、本格的コメディー映画に挑戦したのが、『フィフィ大空をゆく』です。
主人公のフィフィ(フィリップ・アブロン)は現代なら窃盗依存症(クレプトマニア)と診断されるかもしれない若者です。時計に執着し、万引や窃盗を繰り返していますが、盗品を売るのではなく、収集しているようです。ある日、時計のコレクターのお屋敷から時計を盗み出したところを見つかって、サーカス小屋に逃げ込みます。サーカス団の団長は彼をかくまいますが、事故に遭った団員の代わりに「鳥人」に仕立て上げようとします。特殊技術で、人間の背に羽をつけて空を飛べるようにしようというものです。一歩間違えれば落下して死んでしまう危険もあるのですが、サーカスの花形娘ミミ(ミレイユ・ネーグル)に一目ぼれしたフィフィは団長の提案を受け入れて、背中に羽をつけ、飛ぶ練習に励みます。
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