連載 Go to the people——バングラデシュと共に歩んだ私の国際保健50年
第二十六編
石川 信克
1,2
1公益財団法人結核予防会
2結核予防会結核研究所
pp.743-747
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890080743
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参加型アクションリサーチ第3弾の開始
保健対策、公衆衛生活動の進展で、その内容の充実や改善には、並行した評価活動としてのオペレーショナル・リサーチは欠かせない。私たちは、バングラデシュで急速に拡大していったWHO/世界銀行支援結核プロジェクトと並行し、活動の質の向上を目指し、1993〜1995年まで、補完的な研究的活動を行ってきた。それを参加型で行う参加型アクションリサーチ(participatory action research: PAR)の手法を用いることの意義を体験してきた。農村部の郡保健センター460カ所での結核対策の方向性が出てきたので、大都市で実施されることになった。そこでアッサン・アリ結核対策課長は、このPARの方法を大都市でも行いたいと提案してきた。大都市は行政的に独立した仕組みがあり、農村部の対策と異なる。感染症対策でも、結核対策課長や保健大臣がじかに指示を下しにくい。国は方針を出せるが、自治体の長が最高司令者の権限で実施することになっている。そこで1996年より、大都市チッタゴン*1市でPAR第3弾を行うことになった。

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