連載 Go to the people——バングラデシュと共に歩んだ私の国際保健50年
第九編
石川 信克
1,2
1公益財団法人結核予防会
2結核予防会結核研究所
pp.342-345
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210265
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いよいよ仕事が始まった
地域保健(コミュニティー・ヘルス)および結核の専門家としての仕事が始まった。各地域に散在する傘下23のNGOクリニックが行っていたコミュニティーヘルス支援と活動の中に結核対策を入れる仕事だ。
当時(1980年代初期)のバングラデシュの人口は9千万人、人口密度は対平方km600を越えて世界最高位、出生率は千対33で人口増加率は2%を超え、25年で倍増が予測された。乳児死亡率は出生千対130と高かった(当時日本は7、最近の当国では30と改善)。平均寿命は50歳、一人当たりのGNPは200 USドル(日本の50分の1)、成人識字率は22%、人口の46%が15歳以下で、子どもの半数は何らかの栄養失調といわれていた。これらの保健指標は、世界的に見ても最悪の状態であった。
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