FOCUS
生殖補助医療(不妊治療)—現状と保険適用について
荒木 泰行
1
1群馬パース大学医療技術学部検査技術学科
pp.48-51
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530010048
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はじめに
生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)とは,不妊症の治療を目的としたさまざまな医療技術の総称である.代表的な治療法には,体外受精(in vitro fertilization:IVF),顕微授精(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)などがある.
人工授精(intrauterine insemination:IUI)は,最も古くから行われている不妊治療の1つで,配偶者またはドナーの精子を子宮に注入する簡便な方法であるが,一般不妊治療という範疇として分類され,生殖補助医療とは区別されている場合が多い.
1978年にイギリスで世界初の体外受精児が誕生1)して以来,体外受精による治療は世界中に広まった高度な技術であり,採卵された卵子と精子を体外環境で受精させ,受精卵(胚)を子宮に戻す一連の工程を含む.また,顕微授精は1992年にベルギーでヒトでの生児獲得が報告2)された手法で,1つの精子を卵子に直接注入する.この技術の登場によって,極めて少数の精子しか得られない男性不妊患者においても挙児の可能性が広がった.
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