連載 Focus On
不妊治療の保険適用による変化
髙井 泰
1
1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
キーワード:
人工授精
,
生殖補助医療
,
体外受精
,
顕微授精
,
着床前遺伝学的検査
Keyword:
人工授精
,
生殖補助医療
,
体外受精
,
顕微授精
,
着床前遺伝学的検査
pp.153-160
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_153
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少子化は今や社会問題となっており,不妊症の検査や治療を受けたことがある夫婦は18.2%に上る.不妊症診療は,生殖メカニズムに関するさまざまな研究知見の集積を背景として,種々の検査や手術,一般不妊治療や生殖補助医療(ART),専門知識に基づく看護や心理支援などきわめて多方面からのアプローチを必要とする.妊娠成立のメカニズムはいまだ不明な点が多く,加齢による卵子の機能低下(いわゆる「卵子老化」など)も無視できない.個々の夫婦のさまざまな価値観,年齢や既往歴,社会的状況(女性の就業の有無など)や希望により,治療期間を適宜調整することも重要である.2022年4月からARTを含む不妊治療が保険適用の対象となり,多くの不妊症患者にとっては福音といえるが,従来と比べて最新の治療が受けにくくなるほか,安全性を含めてさまざまな課題も指摘されている.
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