特集 生殖補助医療
わが国の生殖補助医療の現状
青野 敏博
1,2
1徳島大学
2金井産婦人科不妊内分泌センター
pp.97-101
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902812
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はじめに
1978年に英国で初めて体外受精—胚移植(Invitro fertilization and embryo transfer,以下IVF-ET)による児が誕生して以来,不妊治療の技術的な進歩は目を見張るものがある。特にこれまで難治とされてきた卵管性不妊,男性不妊および原因不明不妊に対して,高い成功率を上げることができるようになり,不妊治療の方法が大きく変換した。
しかし一方では,卵巣過剰刺激症候群(Ovarian hyperstimulation syndrome,以下OHSS)の発生や多胎妊娠の頻発などの副作用が増加し,医療上のみならず,社会的な問題になっている。また長野県の医師により血縁者からの精子や卵子を用いた非配偶者間体外受精が学会の会告に反して実施され,親子関係の混乱がもたらされるなど,倫理的な問題もクローズアップされてきた1)。
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