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はじめに
みなさんは看護職としての「限界」を感じたことはありませんか? 医療機関や所属機関の中での決められた役割の限界、与えられた時間や予算の限界、そもそもの制度の限界など。私たち看護職は、より良い看護や生活を支援する上で「もっとこうあればいいのに」と感じても、その枠組みから外れることや「外すこと」の必要性を感じながら看護を捉えたり、学んだりする機会はなかったのではないでしょうか。
私自身、おそらく「異端」の看護師かもしれません。臨床検査技師や陸上自衛官を経て、2歳の子育てをしながら大学の看護学部へ社会人入学をし、医療的ケア児やその家族が抱える「限界」を自らの力で突破するために会社を起業、行政や時に政治家を巻き込んで制度や仕組みを創っていく「限界突破」へ挑戦を続けています。私が地域や在宅で仕事をする上で大切にしていることは、自分たち支援者側が決して「諦めない」ことです。ご家族は困りごとに直面をしながらも、ギリギリの状態で私たちを頼ってくれています。
しかし、私たちが困難だという理由で諦めてしまえば、そのご家族は暗闇の底深くに突き落とされてしまいます。常に「どうしたら解決できるか?」を問い続けて、周りを巻き込みながら行動していくと、力を貸してくれる人が必ず現れます。1人で解決しようとすると限界がやってきますが、執念深く人と行政を巻き込めていければ、いつか社会全体の課題が解決できるきっかけになると私は信じています。
私のことを異端と称しましたが、この多様化する時代に即した看護を取り巻く社会を「限界突破」していける看護職者を増やしていくことは、看護界ならびに看護教育界にとって、これからもより求められるものなのかもしれません。
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