Japanese
English
特集 障害児者の口腔機能とケア
障害児者に対する歯科医の関わり
How to Relate with Disabled Person as a Dentist.
上原 進
1
Susumu Uehara
1
1日本大学松戸歯学部障害者歯科学教室
1Dentistry for the Handicapped, Nihon University School of Dentistry at Matsudo
キーワード:
障害者歯科学の経緯
,
特殊性と普遍性
,
リハビリテーションへの関わり
Keyword:
障害者歯科学の経緯
,
特殊性と普遍性
,
リハビリテーションへの関わり
pp.743-749
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107934
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
障害者歯科という言葉も,今日ではかなり人口に膾炙されるようになってきた.しかし,そのわりには明確に理解されていない面もある.それぞれの人が直接自分の関わる部分でのありようを捉え,それを増幅したところで,障害者歯科を論じたり,理解したり,あるいは第三者の場合は先入感というフィルターを通して理解していることがある.従来の歯科領域における専門分野は,それが治療技術に足掛かりを置いていた時代では理解が容易であった.登場した当初の小児歯科学は,それらとは異なって年齢で線引きをしていたために理解され難かったが,今では独立した地歩を固めている.
しかし,障害者歯科という領域の対象者の概念は,その時代の社会思潮の変化によって流動しやすい性質をもっているために,より理解を困難にしている.しかも,その概念は歯科領域とは異質な領域のものであるために殊更に理解し難いものになっている.でも,このことは医師の立場でのみ関わろうとしていた時代のリハビリテーションの世界と同質の問題かもしれない.見方を変えれば今流の表現でいう学際的な広がりをもつ新しい歯科領域の分野であるともいえる.それだけに,これを歯科領域の専門分野として一人歩きさせるためには,周囲の人の理解を期待するのにひとしおの工夫と努力が必要である.そこで,本項では,まず障害者歯科の生い立ちとその流れをおおまかに追うところから始めていきたい.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.