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M-GTA/研究会との出会いと歩み
「山崎さん,M-GTAでやってみたらどうですか」—2003年に木下康仁先生からいただいたこの何気ない一言が,木下先生との,そして先生が開発したM-GTAとの,20年にわたる関わりあいの始まりであった。当時,私は京都大学で若者のセクシャルヘルスに関する博士論文研究に取り組んでいて,分析方法の選択に悩んでいた。そのタイミングで幸いにも木下先生と出会い,M-GTAの活用を勧められ,M-GTA研究会に入会して研究発表をする機会をいただいた。また,木下先生の立教大学の研究室で何度か個人的に研究指導を受ける僥倖を得たり,M-GTAによる初期的な分析結果を日本保健医療社会学会で発表した際には,先生がわざわざ会場まで足を運んでくださって励ましの言葉やコメントをくださったりと,木下先生は指導学生でもない私に自分の門下生であるかのように接してくださった。
2005年に西日本M-GTA研究会が設立されるにあたり,木下先生から立ち上げに携わるよう依頼され,初期メンバーに名を連ねることになった。東京の研究会と並行して研究発表などの活動を続け,その過程での木下先生や諸先生方とのディスカッションを通してM-GTAの理解が大いに深まり,2006年に博士論文『解釈主義的社会生態学モデルによる若者のセクシャルヘルス・プロモーション—性的に活発な高校生のコンドーム使用促進のための要因探索および対策・援助検討型研究』(山崎, 2006)を完成させることができた。私はこの過程で,M-GTA研究会はM-GTAを使って研究する人間同士で支えあい高めあうコミュニティである,と感じるようになり,段々と魅了されていったのだと思う。

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