短歌のまどい
木下利玄について
美山 藤野
pp.46-48
発行日 1955年3月1日
Published Date 1955/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200812
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牡母花は咲き定まりて靜かなり花の占めたる位置のたしかさ
これは大正10年利玄36才の作で,利玄といえば先ずこの歌が口にすぐ出てくるほど知られています.「花の占めたる位置のたしかさ」といつて,当時としては非常に新しい表現の中に,花と自分との結びつきが融合しているさまが気品高く歌われています.ぢつと花を凝視している写生三昧境の中に,花を愛する情がにじみ出ていて今尚価値の高い歌として評価されています.
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