臍部に生じた腹膜中皮囊胞の1例

A case of peritoneal mesothelial cyst occurring in the umbilicus

要約　45歳，女性．約5年前に臍部の約2 cm大の皮下結節に気づいた．初診時，臍部に約2 cm大の弾性軟，可動性良好な皮下結節を認めた．CTでは内部に液体貯留を伴う約2 cm大囊胞状構造を認め，腹腔内との連続性はなかった．超音波検査では境界明瞭で，内部が均一な低エコー病変を認めた．皮膚生検を施行しくりぬき法で囊腫壁ごと摘出した．囊腫壁は異型のない単層の立方状細胞で構成されており，免疫染色の結果，囊腫壁を構成する細胞はWT-1陽性，カルレチリン陽性であったため，腹膜中皮囊胞と診断した．腹膜中皮囊胞は体腔漿膜を被覆する中皮細胞由来の囊腫で，皮膚科領域での報告はきわめて稀であると考えられるが，臍部の皮下腫瘤の際は鑑別に挙げる必要がある．摘出の際は術前に画像検査で腹腔内との連続がないことを確認し，取り残しのないように手術を行う必要がある．