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看取りの心得と作法17カ条

看取りの心得と作法17カ条
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筆頭著者 藤腹 明子 (著)

青海社

電子版ISBN

電子版発売日 2022年8月8日

ページ数 175

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-902249-10-1

印刷版発行年月 2004年12月

DOI https://doi.org/10.57286/9784902249101

書籍・雑誌概要

病院、施設、在宅を問わず、ターミナル期にある人へのケアにおいて、より日本的な視点が大切になってきている。本書は、意識的・無意識的にもっている日本人のこころの在りように沿い、最後の3カ月から死亡後の心構え(心得)、ケアの実際(作法)を具体的に記している。
 具体的には、「看取りの基本姿勢」「看取りの対象とニーズ」「看取りの期間の各段階とその特徴」「いわゆる“病名告知”について」「看病・看死・葬送」「末期患者とその家族の苦痛・苦悩への対応」「“痛み”という苦痛の緩和」「最後の瞬間の救い」「生死観とは何か」「看取りの評価の実際」「臨終・死亡時のケア」「死後処置の実施方法」「残される家族のニーズとケア」など、日常的に遭遇する出来事の意味と心構えが説かれている。
 より日本的な看取りやケアの在りようと実際を17の柱に則して解く、最後の生を支える医療・福祉に携わる方、一般の関係者にとっての待望の一冊である。

目次

看取りの心得と作法17カ条について
第1カ条 看取りの基は、「いのち」への限りなき畏敬と思い遣りなり
 看取りは、人の「いのち」へのかかわりであるというこ
 “ケア”の語源にみる関心の意味と思い遣り
 仏教の教えに学ぶ看取りの基本姿勢
 セーバーとウパスターナ/四無量心の教え/四摂法の教え/無財の七施の教え

第2カ条 看取りの最初の心得は、看取りし者もいつか必ず死を迎えると自覚することなり
 あなたもいつか“散るさくら”になることを自覚していますか
 他者の死に向き合うことは、自身の死に向き合うこと
 人の生死に向き合うことは、真実に向き合うこと
 人として生まれし者の心得は、いつか必ず死を迎えると自覚することなり

第3カ条 看取りは、死の前には無力なる自分自身を知ることから始まるなり
 死の前には無力な自分を知るということ
 死に行く人を前にして、何もできない自分自身を知ることから看取りが始まる、とは言ったけれど
 ナイチンゲールに学ぶ看取りの基本姿勢
 看取る者に求められる感性・知性・理性・霊性
 感性/知性/理性/霊性

第4カ条 看取られる者は、末期がん患者のみならず死に臨む人すべてなり
 看取りの対象(看取られる者)とは
 改めて看取りの対象(看取られる者)とは
 看取りの対象とそのニーズ
 五つの側面からみた対象のニーズ
 基本的欲求に伴うニーズ/身体的側面のニーズ/内的側面のニーズ/社会的側面のニーズ/生活面のニーズ
 看取りの対象から改めて学んだこと

第5カ条 看取りの期間に長短あれども、およそ三月が大事と心得よ
 看取りの期間
 看取りの期間の各段階とその特徴
 ターミナル前期/ターミナル中期/ターミナル後期/危篤・臨終時/命終時/死後の処置/死亡後の家族へのケア
 死に向かう三月という期間の大切さ

第6カ条 看取り・看取られる者共々に、真実を語り合うことこそ大事なり
 いわゆる“病名告知”ということについて
 病名告知の目的とその実態
 なぜ、病名や病状、今後の見通しについて伝えることが必要なのか
 “病名告知”に対する看護者の基本姿勢・態度

第7カ条 看病・看死・葬送は、切り離しては考えられぬものと心得よ
 看護は人のいのちの誕生前から死後までも視野に入れたかかわりである
 人が死んでから墓に入るまで
 “人が死んでからお墓に入るまで”の見学を通して知り得たこと
 専門性、社会性、そして教養を身につけることの大切さ

第8カ条 看取りは、この世からあの世への橋渡しなり
 ターミナルケアの語源には境界という意味が
 三途の川にも境界が
 臨死体験者のバリア体験にも境界が
 死後の世界に対する人々の態度
 死という越え難い一線(境界)を乗り越えるために

第9カ条 病者の「願い」を第一に、看取ることが大事なり
 病者の「願い」を第一に看取るために医療者に求められること
 「恕」の心、「同感」という態度/死を学ぶ、死に学ぶ
 死を畏れ、死を恐れずに
 死に対するおそれ/死に対する畏れと恐れ/死を畏れ、死を恐れずに/平生から自身の願いを明らかに

第10カ条 看取る者は、己が役割・立場を心得て臨むことが大事なり
 苦・苦痛・苦悩などの概念
 末期患者とその家族の苦痛・苦悩
 自分が末期患者だとしたらどのような思いになるのだろうか、と考えてみること/五つの側面から対象の苦痛や苦悩を判断してみること
 苦痛・苦悩に伴うニーズへの対応
 「痛み」という苦痛の緩和に向けて
 痛みが人に与える影響/痛みの原因を説明したうえで疼痛緩和をはかること/痛みに対して同感的であること/疼痛閾値を上げるような配慮を
 末期患者の苦痛や苦悩に向き合うために己が役割・立場を心得ていること

第11カ条 看取りは、病者本人のみならず、家族も含めて見護ることなり
 「家族」をどのように捉えるか
 末期患者を抱えた家族の苦痛・苦悩とニーズへの対応
 基本的欲求に伴う苦痛・ニーズへの配慮/身体的側面の苦痛・ニーズへの配慮/内的側面の苦痛・苦悩・ニーズへの配慮/社会的側面の苦痛・苦悩・ニーズへの配慮/生活面の苦痛・ニーズへの配慮

第12カ条 看取られる者・看取る者共々に、最期の瞬間に「救い」をめざすべし
 「救い」の概念
 看取られる者・看取る者がめざす「救い」とは
 看取りがめざすものからみた「救い」/人としての望ましい臨終・死からみた「救い」
 最期の瞬間の救いをめざして
 「救い」は個々人の問題である/看取られる者も看取る者も共に生死観を育むことの大切さ

第13カ条 看取りの在りようを左右するは、看取る者の生死観なり
 生死観とは何か
 なぜ、看取る者に生死観が求められるのか
 ある看護学生の実習記録から
 看護者の生死観が看取りの質を左右する
 死のこちら側の死を想うこと/死の瞬間における死を想うこと/
 死の向こう側の死を想うこと

第14カ条 看取りの善し悪しは、本来看取られる者が言い得ることなり
 看護と評価
 看取りと評価
 末期患者のQOLと評価/QOLと病名・病状・予後などを伝えること
 看取りの評価の実際
 「看取りの心得と作法17カ条」からみた評価/望ましい臨終・死の視点からみた評価/死後処置に取り組む看護者自身の姿勢と評価

第15カ条 人の臨終・死後処置にかかわるは、偶然でなく必然なり
 臨終・死亡時のケア
 死後処置の目的と留意事項
 死後処置時の留意事
 死後処置の実施方法
 必要物品/死後処置の実施方法
 死後処置に伴う儀礼について
 儀礼のもつ意味/死後処置における儀礼
 ご遺体は怖くない愛しい存在
 死後処置に対する看護者の意識/人の臨終・死後処置にかかわるは、縁あって選ばれたると思うべし

第16カ条 看取られる者・看取る者共々に、心残りや憂い無きよう励むべし
 人それぞれの臨終・死があるけれど
 望ましくない臨終・死
 中世の臨終行儀書にみる臨終時の心得と作法
 望ましい臨終、そして死について

第17カ条 看取りとは、看取りし後も続くものなり
 改めて看取りの期間の各段階について
 残される家族のニーズ
 家族の死は、家族にとって危機的なできごとである/対象喪失と悲嘆・予期的悲嘆について/正常な悲嘆の心理過程、病的な悲嘆の心理過程
 残される家族のケア
 死別後のケアは最初の出会い(入院時)から始まっている/病的悲嘆へのかかわり