書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
Fasciaの評価と治療
解剖・動作・エコーで導くFasciaリリースの基本と臨床 第2版
ハイドロリリースのすべて
筆頭著者 木村 裕明 (編)
文光堂
電子版ISBN
電子版発売日 2021年9月13日
ページ数 352
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-8306-2749-1
印刷版発行年月 2021年7月
書籍・雑誌概要
解剖学・動作分析・エコー技術を基にfasciaハイドロリリースを解説した初版はこの分野の定番書となった.今回,新たなエビデンス&臨床実践に基づき改訂.fasciaの基礎と臨床について,圧倒的な情報の質と量で一冊に集約.特に「手技」について大幅加筆され,難易度を示しつつ部位別に網羅.また,「fascia理解のために特化した動画・カラー解剖図・表・エコー写真」は総数400点を超える.痛みに向き合う全ての臨床家の診療スキルが向上する.
目次
1 fascia(ファシア)とは
①fasciaの歴史・定義の変遷─実態・認識・言葉の狭間で
[column]雲とfasciaの類似性
②fasciaは西洋医学と東洋医学の架け橋
③fasciaの解剖生理
[column]Dr. Jean-Claude Guimberteauとfascia
2 fasciaの病態
①fasciaと疼痛学
[column]fasciaの発痛源は「神経」か?
②fasciaと画像評価
[column]エコー技術の発展とfasciaの病態解明
③ファシア疼痛症候群(FPS)の提唱
④fasciaの病態に関わる代表的な用語(癒着,柔軟性など)
⑤癒着のGrade分類
3 fasciaから再考する各種病態
①診断とは何か? 病名と診断名の再考
[column]不定愁訴とは? 原因不明とは?
②関節の病態
[column]病名の再区分─thumb pain syndrome
③炎症性疾患との関係
④末梢神経の病態
⑤血管の病態(冷え症含む)
⑥fasciaと自律神経症状
⑦局所と中枢の治療戦略
4 エコーガイド下fasciaリリースとは
①エコーガイド下 fasciaリリースの技術開発,命名の歴史的経緯
②fasciaリリースの種類と適応
[column]末梢神経内リリース
③エコーガイド下ハイドロリリースとは?
[column]ハイドロリリースという言葉が生まれた背景
④hydroreleaseとhydrodissectionおよびブロックの違い
5 fasciaリリース評価と治療概論
①さまざまなfasciaリリース(注射,鍼,徒手など)の方法とその組み合わせ方
[column]針・鍼の先端の形状と組織侵襲性
[column]鍼は本当に神経や血管を避けるのか?
[column]注射療法+徒手療法(passive manipulation with hydrorelease)
②注射手技と効果判定の全体像
③注射の治療効果判定
[column]リリースで悪化する場合(圧痛による治療部位選定のピットフォール)
6 治療部位・発痛源の評価
①fasciaリリースのための診察の流れ
[column]fascia治療に関する適切な用語は?
②触診─触診方法のコツ
[column]医師が鍼を使う意義
③触診─触診の学習方法
[column]エラストグラフィを活用したエコーガイド下触診教育
④動作分析と可動域評価
[column]pROMの全身評価の方法:real anatomy train
⑤pROMとnerve tension test
[column]エコーを用いた坐骨神経の滑走評価nerve gliding test
⑥fascia治療におけるエコーの活用法
⑦多様な関連痛マップ(dermatome,myotome,fasciatome,angiosome,venosome,osteotome)
7 エコーガイド下fasciaハイドロリリースの方法
①穿刺および注射針の操作技術─注射針・シリンジ・薬液の選択
[column]fasciaハイドロリリースにおけるステロイド薬の適応
②fasciaハイドロリリースに伴う合併症
③安全で確実に注射するための工夫と学び方
④安全確実なfasciaハイドロリリースのための教え方(気胸を克服する)
8 エコーガイド下fasciaハイドロリリース(US FHR)の実践
①エコーガイド下fasciaハイドロリリースの学習法
②エコーガイド下fasciaハイドロリリースの難易度一覧
A 頸 部
①頭半棘筋/大後頭神経/下頭斜筋(ランクA)
②中斜角筋/後斜角筋/第1肋骨(ランクC)
③胸鎖乳突筋裏(C2〜3 レベル)(ランクB)
④C8神経根周囲の fascia(ランクC)
⑤側頭筋/外側翼突筋(ランクC)
⑥C1/2の黄色靱帯・背側硬膜複合体(ligamentum flavum/dura complex: LFD)(ランクC)
B 肩関節
①肩峰下滑液包と三角筋下滑液包(ランクA)
②烏口上腕靱帯(ランクA)
③三角筋筋内腱(ランクA)
④小円筋/上腕三頭筋(長頭)/腋窩神経,下後方関節包複合体(ランクC)
C 上肢帯
①僧帽筋/棘上筋(ランクA)
②棘下筋(横走線維/斜走線維)(ランクA)
③腋窩動脈周囲のfascia(腋窩鞘)(ランクC)
D 上 肢
①橈骨神経周囲のfascia(上腕遠位部)(ランクB)
②尺骨神経周囲のfascia(Struthers腱弓)(ランクB)
③オズボーンバンド(ランクB)
④長短橈側手根伸筋・総指伸筋/回外筋(ランクA)
⑤手関節部の伸筋支帯(ランクB)
⑥手関節部の屈筋支帯(ランクB)
⑦正中神経(束間神経上膜)(ランクC)
E 体 幹
①胸腰筋膜(ランクA)
②腰部多裂筋(ランクA)
③腰椎横突起腹側(腰方形筋付着部)(ランクA)
④腰椎椎間関節包(ランクB)
⑤術後創部痛(ランクB)
F 下肢帯
①中殿筋/小殿筋/腸骨(ランク A)および中殿筋/小殿筋/股関節包(ランクA)
1.中殿筋/小殿筋/腸骨
2.中殿筋/小殿筋/股関節包
②梨状筋(ランクB)
③S1後仙骨孔(ランクC)
④坐骨神経(ランクC)
G 下 肢
①鵞足/内側側副靱帯(ランクA)
②伏在神経周囲のfascia(膝関節周囲)(ランクB)
③半腱様筋/半膜様筋(ランクA)
④膝窩動脈周囲のfascia(ランクC)
⑤総腓骨神経周囲のfascia(ランクB)
⑥足関節部の上伸筋支帯(ランクB)
⑦足根洞(ランクA)
9 症例提示─fasciaハイドロリリースの実践が進む分野
①症例1 整形外科医の腰痛
②症例2 若年女性の上肢痛の原因は「顎関節」
③症例3 歯科領域への応用(新しい非歯原性歯痛分類の提案)
[column]顔面痛に対するfasciaハイドロリリース
④症例4 脳卒中後遺症ではなかった右上肢のしびれ感
[column]神経疾患とファシア疼痛症候群(FPS)の合併
⑤症例5 創部痛(大動脈弁置換術のための開胸術後)
[column]腹壁へのハイドロリリース
⑥症例6 スポーツ選手の筋腱断裂後疼痛
⑦症例7 左肘窩部の採血後疼痛
⑧症例8 交通事故後のむち打ち症(外傷性頸部症候群)
⑨症例9 前胸部不快感と過換気発作を繰り返す若年女性
⑩症例10 膠原病(炎症性疾患)に合併するファシア疼痛症候群(FPS)
[column]リンパ節炎後のリンパ節リリース
⑪症例11 脳出血後の頭痛・めまい(fasciaがつなぐ東洋医学と西洋医学)
10 悪化因子への対応─整形内科的生活指導
・生活指導の現状と課題
・運動器疼痛に対する整形内科的生活指導のプロセス
・事実の確認方法
・個人への介入方法
・集団への介入方法
11 fasciaに注視した手術─認識と手技の変遷
・創部と痛み・癒着の関係
・創部の治療
・手術手技とfascia
・手術領域において「膜」や「膜様構造」と認識されてきたfascia
・“膜”や“膜様構造”はfasciaの1つの表現形にすぎない
・fasciaに対する認識の転換―内視鏡による拡大近接画像が見せた「生きている立体的網目状構造」
・総論:fasciaを意識した手術手技(腹部・骨盤部を例に)
・各論:fasciaの認識と手術手技の関係(腹部・骨盤部を例に)―fasciaを温存するか,しないか
・fasciaを意識した手術は合併症を減らす
・fasciaを意識した手術の未来
12 初学者のためのQ&A集
Q1 どのように診察を始めればよい?
Q2 結局,痛いところに注射をすればよい?
Q3 リリースで悪化する病態はあるの?
Q4 注射実施時の感染予防対策は?
Q5 プローブの血液汚染はどうすればよい?
Q6 注射後は,注射した液体を手などで広げるの?
Q7 よくある治療中の患者の反応は?
Q8 注射後の重だるさや痛み(リバウンド)はあるの?
Q9 注射した液体はどれくらいで消えるの?
Q10 薬液注入量のだいたいの目安は?
Q11 針を骨に当てると骨表面上での合併症が起こる?
Q12 古いエコー機器ではこの治療はできないの?
Q13 治療に要する時間は,一人当たりおよそ何分くらい?
索 引