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がん看護と看護倫理

日常にある倫理的問題と実践

がん看護と看護倫理
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筆頭著者 濱口 恵子 (編集)

がん研究会有明病院トータルケアセンター

その他の著者等 編集:後藤 志保(がん研究会有明病院看護部)

へるす出版

電子版ISBN

電子版発売日 2025年2月27日

ページ数 184

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-86719-110-1

印刷版発行年月 2025年3月

DOI https://doi.org/10.32209/9784867191101

書籍・雑誌概要

―倫理的配慮に基づいたがん看護実践を考えるために―

日本人の2人に1人が生涯のうちにがんに罹患する時代を迎え、看護師は、働く場にかかわらずがん看護に携わる機会が多くなっています。また、近年のがんを取り巻く環境として、がん治療の進化、治療と療養の場の変化、患者の価値観の多様化・複雑化など、多くの大きな変化がみられるようになってきました。

がん患者への看護・かかわりに難しさを感じたり、“もやもや”する倫理的問題が生じる場面も少なくないでしょう。本書では、“がん”という疾患に特有の臨床の“もやもや”や倫理的配慮が不可欠となる場面を、7つのテーマ・18の事例を通して振り返り、倫理的問題への気づきや日々の看護・かかわりの見直しの過程を詳述しています。

医療者として、がん治療による益と害のバランスをとることの難しさを感じたら…、そもそも目の前にいる患者にとっての益・最善とは何かと悩んだら…。
ご自身の、またご施設の看護倫理の醸成に、ぜひ本書をお役立てください。

目次

【Ⅰ章 総論】
1 がん看護と倫理
2 人を尊重するということ;組織で取り組む倫理的配慮
3 意思決定支援とアドバンス・ケア・プランニング
4 多職種チーム・地域でつなぐ倫理的配慮

【Ⅱ章 日常にある倫理的問題と実践】
がんであると伝えること
 事例① 本人へ病名や病状を説明する際に家族の意向が影響するの?
 即日入院で,家族が先にがんの診断を知り,本人には伝えられていない

 事例② ガイドラインで推奨されない治療を希望する場合でも,患者の要望は尊重すべきなの?
 わが子に病気を知られたくないため,手術創の小さい腹腔鏡下手術を希望している

がん治療方法の選択
 事例③ 手術による失声を受け入れられないから,治らなくても放射線治療に決めたのに…
 気管切開を受け入れたものの,「こんなはずじゃなかった」と患者が言っている

 事例④ がんの切除を目指し,積極的に抗がん薬治療に臨む患者の意向に寄り添えていない
 手術適応になるかの確証はなく,抗がん薬の導入により副作用が現れ生活の質が低下する可能性がある

 事例⑤ 自尊感情が低下した状態で治療をやめたいと言う患者の意向をどう考えればいいの?
 家族に迷惑をかけたくないと患者が言っている

ライフステージとがん
 事例⑥ 患者から「妊娠を優先させたいという思いは許されないのでしょうか」と相談を受けたけれど…
 妊娠を望んでいるために乳がん治療の中断を希望している

 事例⑦ 認知症を抱える高齢者は侵襲の高い手術を自分の意思で決定できるの?
 患者は認知機能が低下し,自分が抗がん薬治療を受けたことを忘れている

 事例⑧ なんとなく違和感があるなか淡々と診療とケアが進められているけれど,このままでいいの?
 患者の不満が聞かれることはないが,患者主体でない医療・看護が続いている

 事例⑨ 患者・家族・職場と意向が異なる状況なのにこのまま職場復帰をすすめていいの?
 全身状態が悪化している患者から職場復帰の申し出があり,周囲が反対している

キーパーソンとのかかわり
 事例⑩ 患者の在宅療養の希望と家族の介護負担のどちらが優先されるの?
 患者は自宅に帰りたいが,家族は介護負担を心配している

 事例⑪ がんが進行しつつあるなかで,キーパーソンは同僚でいいの?
 がん薬物療法が中止となり,がんの進行が予測されるなか,キーパーソンがどのようなサポーターになり得るのかわからない

苦痛緩和とDNAR
 事例⑫ 終末期のがん患者の持続的鎮静の開始は,どのように決めればいいの?
 患者の妻と母親の間で,鎮静に対する意向に相違がある

 事例⑬ 患者の苦痛を緩和したいのに本人が拒否するのはどうしてなの?
 患者が医療用麻薬の使用を納得しない

 事例⑭ DNAR指示は誰のため?
 患者にDNAR の意向を確認せず,医師は治療の必要はないと判断している

医療安全と患者の尊厳
 事例⑮ 転倒リスクがあるのに離床センサーマットを外していいの?
 医療安全上の対応が,患者には「誰かに監視されている」と思われている

チーム医療と看護師の姿勢
 事例⑯ 病状の進行した患者に積極的な薬物療法の選択でいいの?
 医療チームのなかで治療方針に対する意見が対立している

 事例⑰ 患者の安寧のために提供し始めたはずのケアなのに…
 患者の要望に応え続けることで,ほかの患者のケアに影響が出ている

 事例⑱ 自分のミスがきっかけではあっても,患者の暴言を受け止め続けなければいけないの?
 患者から理不尽なレッテルを貼られ傷つき,担当看護師として向き合うことに困難を感じている

【コラム】
・医療者の提案と異なる療養場所の希望を言葉にできない
・「どうしたいか決めてきて」は,自律性を尊重していることになるの?
・頭頸部がん手術時のコミュニケーションの多様化と治療選択
・手術ができない局所進行膵臓がんの一次治療について
・治療効果があると思い込み,副作用を医師に伝えることを拒否する
・遺伝性のがんについて子どもにどう伝えるか?
・AYA 世代と向き合う心構え
・IADL(instrumental activities of daily living)
・高齢者総合機能評価(CGA)
・治療期に生じやすい「びっくり離職」
・患者の希望をかなえるための退院のタイミング
・成年後見制度を知り,備えるには
・持続的鎮静を開始後に,家族から持続的鎮静を中止したいと希望があった
・看護師も,がん終末期の患者の持続的な鎮静をして看取るのはつらい
・痛みのアセスメント;痛みの意味
・コミュニケーション
・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
・トイレ介助に付き添わなければならないけれど,介助中に他患者に呼ばれてしまった
・がんゲノム医療の現場で感じる倫理的問題;がん遺伝子パネル検査を受ける患者の看護
・患者の最期の望みをかなえることは“特別扱い”なのか
・メンタルヘルスと倫理

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