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認知症ケアと日常倫理
実践事例と当事者の声に学ぶ
筆頭著者 鶴若 麻理 (編)
その他の著者等 那須真弓
日本看護協会出版会
電子版ISBN 978-4-8180-2697-1
電子版発売日 2024年1月31日
ページ数 240
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-8180-2757-2
印刷版発行年月 2023年11月
書籍・雑誌概要
認知症当事者の生活・療養の場を舞台とした18の実践事例と11の語りから
当事者の〈日常生活に潜む倫理〉と、ケア従事者の〈日常実践に潜む倫理〉を考える。
看護実践において注目の概念「日常倫理」(everyday ethics)を、今や誰にとっても身近な疾患となった「認知症」を題材として学ぶ。
認知症当事者のさまざまな生活・療養の場で働く看護職らによるリアルな実践事例と、当事者・家族介護者らによる生の語りを通して、日々の生活の中にある倫理的課題を意識し、考え、自身のケアを改善するヒントとして活かすことができる。
目次
第1章 なぜ日常倫理(everyday ethics)に注目するのか
1-1 本書で使用する「日常倫理」(everyday ethics)という言葉について
1-2 「日常倫理」の定義からの考察
1-3 バイオエシックス(生命倫理)の議論から見た日常倫理
1-4 長期ケアの場と日常倫理
1-5 認知症ケアと日常倫理の関係性
1-6 プロフェッショナリズムと日常倫理
1-7 本書の構成と特徴、活用方法
第2章 認知症当事者の日常生活から倫理を考える
2-1 本人の持つ力が過小評価されていないか
事例1 家に帰って私が食べさせれば食べられるはず
事例2 職場に行こうとしたら、上司に「来なくていい」と言われた
事例3 今までどおり、なじみの居酒屋に行きたい
【Voice】
介護って、価値観の転換を強いられるんです
本人が困っていないのなら、最低限のサービスでいい
2-2 本人の意思決定能力が過小評価されていないか
事例4 夫もあの診療所には通いたくないと言っていました
事例5 ご飯が食べられなくなるなら、手術をしなきゃね
事例6 何でそんなこと言うねん。私は入院なんかしたくない、家がええ
【Voice】
自分1人では生活できないですよ。家内に頑張ってもらっているから、僕は助かっているようなもんで
結婚して50年以上経ちますけど、全然手のかからない主人だったんです
2-3 日常生活で自由が制限されたり、過度に観察されたりしていないか
事例7 携帯電話はどこかな……これは持っておかないと
事例8 こんな入浴介助を受けてみたい
事例9 恥ずかしいから嫌だ
事例10 嫌です、どうしたらいいの?
事例11 認知症があるから、説明してもわからないでしょう
事例12 リハビリにもなるし、歌が好きだからいいんじゃない?
【Voice】
頑張っていればなんとかなるだろうって、毎日一所懸命、頑張っている
もし私が入院でもしたら、どうするのだろう?
2-4 本人にとっての大切なことや生活習慣が軽視されていないか
事例13 もうこれ以上、身体を痛めたりすることはしたくないし、入院も勘弁してほしい。透析なんて嫌だ
事例14 自分たちの好きにしたいのよ
【Voice】
人の面倒を見る前に、自分の母の面倒を見られないでどうするのか
家で看取るってことの意味がだんだんとわかり、腹が据わってきました
2-5 本人のニーズが見過ごされていないか
事例15 どこも痛くない
事例16 キウイフルーツは完食なのに
【Voice】
私の腕が杖代わりなんです
「私には3人以上いる。だからきっと大丈夫だ」と思ってやってきました
2-6 大事なことが、まわりの都合によって決められていないか
事例17 もうこれからは1人で暮らすのは無理よ
事例18 自分が家で父を看られない以上、仕方ないです
【Voice】
これからの目標? 「あの世に一緒に行けたらいい」ってね
第3章 認知症ケアを通して浮かび上がる日常倫理
3-1 ヘルスケア関係者が認知症ケアでとらえた倫理的問い
3-2 認知症ケアの行われる場における倫理的問いの特徴
3-3 認知症当事者の日常を脅かすバリア
3-4 認知症ケアの新たなルーチン化?
3-5 気づきをいかに行動へとつなぐか
3-6 「したい」の自己と「すべき」の自己