書籍・雑誌概要

ヘルス・フードテックの未来展望―栄養・食の課題解決に挑み健康社会をつくる
　フードテックとは，Food（フード）とTechnology（テクノロジー）を組み合わせてつくられた言葉で，世界的な食糧不足・飢餓問題に対応する持続可能な食糧供給の実現や，食品産業における生産性の向上，健康志向や環境志向といった個人の多様なニーズを満たす豊かな食生活の実現など，食にかかわるさまざまな課題を最先端の技術を活用して解消し，食の可能性を広げていくことが期待されています．近年，フードテック分野への関心が急速に高まる中，世界におけるフードテックへの投資額は年間2兆円を超えるともされ，環境負荷の高い食肉に代わるたんぱく質供給源の開発や，計画生産が可能な植物工場，フードロボットによる調理，ICTを活用したスマート農業，フードロスや食品廃棄の削減につながる配送・物流におけるICT活用など，多岐にわたる領域で実用化に向けた研究開発が行われています．
　本特集では，フードテックのなかでも健康や疾患予防といったヘルスケアともかかわりの深いテーマを中心に，各分野の最新の取り組みについてトップランナーの先生方にご解説いただきました．最新テクノロジーが拓く栄養・食の未来に向けて，本特集が将来展望の一助となりますと幸いです．（特集にあたって）

目次

特集にあたって……17
健康・医療に寄与するフードテック　　矢澤一良……18
次世代宇宙栄養学の展望　　高田実穂，二川健……22
ヘルス・フードテックによる個別化食の未来　　石川伸一……28
昆虫食の機能性と将来　　井内良仁……32
代替プロテイン研究の最前線　　萩原大祐……38
ゲノム編集による食品の低アレルゲン化技術　　丸山伸之……43
調理支援に向けたロボット技術　　山崎公俊……48
嚥下調整食作成に有用な簡易粘度測定機器の開発　　宮城翠，海老原覚……53
味覚電気刺激による食事体験の変容　　青山一真……58
●巻頭カラー　 これだけは知っておきたい　口腔ケアの基本と実際　
第1回　口腔ケアとは？―アセスメントツールOHAT-Jを中心に　　匠原健，廣瀬知二……4　
●スポット　
家庭で簡単にできる新凍結含浸法―拡散原理を用いた食材軟化技術　　坂本宏司……10
大学病院における臨床倫理コンサルテーションチームの活動　　三浦由佳里，板井孝壱郎……13
●資料　
2023年 栄養関連学会カレンダー……63
●リハ栄養診断推論を究める！ 誌上ケースカンファレンス　
連載開始にあたって　　若林秀隆……68　
vol.1　転移をともなう胃癌により重度の食欲不振を呈した症例　　上島順子，若林秀隆，小蔵要司……70　
●ORIGAMI ART―食に活かすおりがみ/食の教養　
長ねぎ（根深ネギ）　　西田良子，上田浩史……81　
●こんだてじまん　
じまんの一品料理　おせち料理／医療法人光風会 光南病院　　小野寺貴子，大貫由美子，髙橋麻美，関口真央，菱沼孝紀，長真美，堂山和子……84　
●Noteworthy News　
米国栄養士会（Academy of Nutrition and Dietetics）および米国栄養士会国際部会（International Affiliation of Academy of Nutrition and Dietetics：IAAND）の活動　　西岡心大……94
●書評　
『治せる？治せない？摂食嚥下障害への視点と対応 まだまだあるぞ！できること』　　若林秀隆……97
●Case Reportに学ぶ摂食嚥下障害の栄養アセスメントと介入のコツ　
4．認知症高齢者における「口腔原始反射」に対する食支援―認知症の進行に合わせて，多職種でかかわった経口維持支援の一例　　根岸幸子，望月弘彦……98
●宮島流！　病棟栄養士のためのケースカンファレンス活用術　
CASE 13　輸液選択　　宮島功……104　
●Medical Nutritionist養成講座　
61．静脈栄養剤の種類と選択　　井上善文……112　
●Dr.雨海の男性臨床栄養学　
19．タンパク質の逆襲（4）―ApoA-Iとα-シヌクレイン　　雨海照祥……121　
●『日本食品標準成分表』の活用でもっと深まる　食品と調理のキソ知識　
第45回　し好飲料類4　　渡邊智子……134　
●日本栄養士会医療職域　
2023年新年を迎えて　　原純也……153
自治体病院
和歌山県立医科大学附属病院病態栄養治療部の取り組み　　望月龍馬……154
精神科病院
摂食障害の外来栄養指導　　鈴木円佳……155
厚生労働省・消費者庁
第86回「がん対策推進協議会」の開催について・他……156
●おしらせ　
女子栄養大学香友会主催 令和4年度 管理栄養士国家試験受験準備講習会《直前講座》・他……158