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臨床栄養142巻6号
脳腸相関UPDATE 疾患の予防と健康長寿のための食・栄養・腸環境
医歯薬出版
電子版ISBN
電子版発売日 2023年6月5日
ページ数 208
判型 B5判
印刷版ISSN 0485-1412
印刷版発行年月 2023年5月
書籍・雑誌概要
脳腸相関UPDATE 疾患の予防と健康長寿のための食・栄養・腸環境
2016年5月に『臨床栄養』の臨時増刊号として,「脳腸相関―各種メディエーター,腸内フローラから食品の機能性まで」という企画を組ませていただいた.とくに「脳腸相関にかかわる生理活性物質」の項目で8つの活性物質をご解説いただいた.好評を得て,2018年には,若干の変更・追記を加え,書籍化した.
今回,書籍の改訂の依頼があり,その内容について,改訂ではなく,新たな情報を中心に追加しようと考えた.一つには,脳腸相関に影響を与える腸内細菌叢の重要性が明らかとなり,オミックス解析情報を追加した.さらに,「脳腸相関と疾患」についても,10疾患について最新情報を執筆していただいた.また,今回の改訂の一番の特徴は「食・栄養」の重要性を組み込んだ点である.機能性食品成分だけでなく,低FODMAP食,日本食,地中海食,抗疲労食,持続可能な健康な食など,話題の食に関して解説した.「持続可能な健康な食」は,WHOとFAOが提唱するSustainable Healthy Dietsの日本語訳であり,地球環境問題も含む重要な世界の流れでもある.ぜひ本文をご一読いただきたい.
脳腸相関の異常と考えられる機能性消化管疾患の世界的な増加傾向がある.機能性消化管疾患患者の生活の質(QOL)はきわめて悪く,適切な医療を受けられていない現状もある.医師だけでなくメディカルスタッフ,とくに管理栄養士の協力が必要であり,この疾患の患者に対する対応の重要性を理解していただきたい.
この分野の研究・臨床においてわが国が世界をリードしていくためにも,臨床栄養学分野の研究者の台頭は必須である.本書の内容に興味をもっていただいて,脳腸相関研究,とくに腸内フローラの意義に関する研究の裾野が拡大していくことを願ってやまない.
最後に,ご多忙な時間を割いてご協力を賜りました執筆者の先生方に,心より感謝申し上げます.
2023年5月
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座
内藤裕二
(「序文」)
目次
序文(内藤裕二)
Part 1 脳腸相関総論
1.脳腸相関とは(内藤裕二)
2.腸管免疫システムの基本(内山和彦)
3.腸内細菌叢のライフステージにおける変化(内藤裕二)
Part 2 脳腸相関と疾患
1.過敏性腸症候群(鎌田和浩)
2.機能性ディスペプシア(森 英毅・鈴木秀和)
3.肥満・メタボリックシンドローム(乾 明夫・小林由基・河辺ももこ・黒田英志・宇都(鮫島)奈々美)
4.うつ(須藤信行)
5.神経発達症(三上克央)
6.摂食障害(安宅弘司)
7.認知機能障害(佐治直樹)
8.慢性便秘症(髙木智久・内藤裕二)
9.睡眠障害(小川雪乃)
10.アトピー性皮膚炎,食物アレルギー(下条直樹)
Part 3 脳腸相関と食・栄養
1.消化管の味覚センサー(味覚受容体)(石田雄介)
2.食物繊維(髙木智久・内藤裕二)
3.発酵食品―麹発酵食品中のペプチドを中心に(佐藤健司)
4.ポリフェノール(越阪部奈緒美)
5.カテキン(茶山和敏)
6.カロテノイド(岸本良美)
7.プロバイオティクスと健康(稲垣直樹)
8.野菜・フルーツ摂取と認知機能(吉田大悟)
9.低FODMAP食(本郷仁志・谷村美和)
10.健康長寿食としての日本食と腸内細菌叢(安田剛士・髙木智久・内藤裕二)
11.地中海食(功刀 浩)
12.抗疲労食(渡辺恭良・水野 敬)
13.持続可能な健康な食(内藤裕二)
Part 4 脳腸相関最新TOPICS
1.穀類β-グルカンと脳腸相関(青江誠一郎)
2.エンテロタイプと脳腸相関(髙木智久・井上 亮・内藤裕二)
3.ポリアミンと脳腸相関(内藤裕二)
4.時間栄養学と脳腸相関(田原 優)
5.軽度不調とは?(西平 順)
Side Memo
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