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めまいの起源を求めて
筆頭著者 室伏 利久 (著)
帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科教授
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2019年1月14日
ページ数 133
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-498-06280-1
印刷版発行年月 2018年3月
書籍・雑誌概要
「めまい」という症状について歴史を繙き,ときに神話や小説,映画や絵画などの芸術作品を題材に現代医学の素
養を使って解き明かしていくという意欲作.エッセイのように気軽に読める一方,専門家でも読み応えがある現代
の知見も散りばめられている.めまい平衡医学の源流から歴史をなぞり,いつの間にか臨床でも使える知識が入っ
てくる,めまいに少しでも興味のある人にすすめしたい1冊.
目次
CHAPTER 1.めまいの源流
1.「めまい」は人間の苦痛の代表的なものの一つである
─ギリシア神話のイクシオンの話:『変身物語』から─「めまい」の分類について
めまいの起源 ── ギリシア・ローマ神話『変身物語』
めまい症状の分類 ── vertigoとdizziness
2.最も古い「めまい」の記述は? その疾患は?
─カッパドキアのアレテウスの著作と中国の『黄帝内経』─めまいの責任病巣はどこと考えられていたか?
めまいの源流(西洋)
めまいの源流(東洋)
めまいの責任病巣 ── 現代の視点から
3.直立二足歩行の発達と衰え
─スフィンクスの謎かけの話『ギリシア神話』─姿勢・歩行・平衡機能の発達と老化
スフィンクスの謎かけ
直立二足歩行の進化
姿勢・歩行・平衡機能の発達
姿勢・歩行・平衡機能の老化
4.わが国におけるめまいの源流
─『和名類聚抄』と『病草紙』の「風病の男」の段─眼振について
『和名類聚抄』におけるめまいの記載
『病草紙』の「風病の男」の話
眼振の分類
眼振発生のメカニズム
CHAPTER 2.めまい平衡医学者列伝
1.Antonio Scarpa(1752-1832)─末梢前庭系の解剖学の祖
スカルパ以前
スカルパの生涯
前庭神経の形態と生理
前庭神経炎 ── 前庭神経を病巣とする代表的疾患
スカルパの生首
2.Jean Pierre Flourens(1794-1863)─半規管生理学の始祖
フルーランとガル
フルーランのハトによる実験
半規管の生理学
HIT(head impulse test)
3.Prosper Menière(1799-1862)─めまいは耳の病気で起こる─神経耳科学の源流
メニエールの生涯
メニエールの論文
メニエール病と片頭痛
「メニエール病」の誕生と現在
4.Joseph Breuer(1842-1925)とPietro Tullio(1881-1941)─前庭迷路の生理学の発展─VEMPへの流れ
ブロイアーと前庭生理学の発展
エヴァルトの実験とEwaldの法則
トゥリオとその生理学実験
音刺激に対する末梢前庭系の反応と前庭誘発筋電位検査
上半規管裂隙症候群
5.Robert Bárány(1876-1936)─臨床めまい平衡医学領域での唯一のノーベル賞受賞者
─近代神経耳科学の幕開け
1914年以前 ── 温度眼振の発見と温度刺激検査の開発
その他の臨床検査の開発
1914年 ── 転換点
ウプサラでのバラニー
6.Charles Skinner Hallpike(1900-1979)─現代めまい平衡医学へと続く流れ
インドから英国へ
メニエール病の側頭骨病理所見
前庭神経炎と良性発作性頭位めまい症
温度刺激検査法
CHAPTER 3.文学・芸術作品とめまい
1.耳に毒薬?『ハムレット』シェークスピア─鼓室内注入療法とメニエール病
耳に薬 ── 前置き
耳に薬 ── 治療
2.『インフェルノ』と『ロミオとジュリエット』におけるめまい─良性発作性頭位めまい症の原因と治療
『インフェルノ』に登場するめまい
BPPVの病因・病態
耳石の生成・代謝
BPPVの治療
『ロミオとジュリエット』におけるめまい治療──頭位治療の原型?
3.ヒッチコックの『Vertigo』─高所性めまいについて
ヒッチコックの『vertigo』におけるめまい
高所性めまい
4.樋口一葉『たけくらべ』,芥川龍之介『歯車』─頭痛とめまい
樋口・芥川と頭痛
片頭痛の歴史
現在の状況
5.ゴッホの『星月夜』─渦巻く夜空は何を意味するのか?
『星月夜』
ゴッホ メニエール病説
メニエール病説の弱点
ゴッホの発作を説明する他の仮説──側頭葉てんかん+α
てんかん性めまい
その他の可能性 ── 前兆のある片頭痛
6.ムンクの『叫び』─めまいと不安のリンク
『叫び』と不安
不安と空間識障害
心因性めまいとは
心因性めまいへの対応
おわりに
索 引