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明日は我が身 PCI合併症から脱出する術
筆頭著者 伊藤 良明 (著者)
メジカルビュー社
電子版ISBN
電子版発売日 2019年9月23日
ページ数 400
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-7583-1958-4
印刷版発行年月 2019年7月
書籍・雑誌概要
PCI(経皮的冠動脈インターベンション)は,冠動脈疾患治療の中心的な役割を担っている。比較的低侵襲かつ安全で効果的な治療法として手技やデバイスの発達とともに急速に発展し,今や成熟期に達しているといえるが,侵襲的治療であることに変わりはなく,常に合併症と隣り合わせであることは忘れてはならない。
合併症の種類は多岐にわたり,一つひとつの発生頻度はそこまで高くはないが,誰しも経験する可能性がある。また,ひとたび発生すると突如として死亡率が高くなるものもあり,術者は常にその危険を念頭に置いておく必要がある。
そのためには,合併症に関する情報をできるだけ収集し,万が一直面してしまったときに切り抜けるための知識・方法をより多くの引き出しとして持っておくことが必要不可欠であるが,前述の通り,合併症発生の頻度はそこまで高くなく,種類も豊富なため,術者個人がそれぞれ経験して回避法を会得していくには限界がある。
本書では,国内でも有数のPCIエキスパートがこれまでに経験した,豊富で貴重な合併症例を紹介し,実際に切り抜けた方法や究極的な技について解説。稀な症例・内科的ベイルアウトを断念した症例まで,包み隠さず赤裸々に,合計千数百枚の画像を用いて徹底解説した。
PCI術者が自身の“疑似”体験として引き出しにストックし,万が一の場面でも冷静に対処できるようになるための1冊である。
目次
1.穿刺,止血
■ 鼠径穿刺部出血と骨盤内および後腹膜出血
[なぜ生じる?] High puncture/セルジンガー法とキンク/その他
[どうする?] 用手圧迫をする/エコーや造影を行う/後腹膜出血だったら
症例1 バルーンで止血
症例2 カバードステントで止血
症例3 後腹膜出血 経過観察例
症例4 後腹膜出血 手術例
■ 穿刺部仮性瘤形成
[なぜ生じる?]
[どうする?] エコーやバルーンを用いる/トロンビンを用いる
症例5 バルーンで止血
症例6 エコープローベで止血
症例7 トロンビンで止血
■ 橈骨動脈損傷
[なぜ生じる?] 操作の問題/血管の問題
[どうする?] 自然出血/用手圧迫とバルーン拡張/止血後は?/遅発性の出血なら?/麻痺があれば?
症例8 自然に止血
症例9 ロングインフレーションにて止血
症例10 脂肪塞栓で止血
症例11 オーバーザワイヤーバルーンで止血
症例12 減張切開例
2. ガイディングカテーテル
■ 大動脈が解離してしまった
[なぜ生じる?]
[どうする?] 造影をしない/IVUSを用いる/ガイドカテを変更する/裏技は?/降圧し,CTを施行
[どこまで頑張るべき?]
症例13 ステントを留置
症例14 IVUSを活用
症例15 経過観察できた例
症例16 オペ症例
■ 冠動脈解離(穿孔)
[なぜ生じる?] Deep engage/デバイス抜去時/CTO治療時/その他
[どうする?] 造影をしない/ステントを挿入する/IVUSを用いる/血腫が大きかったら
症例17 ALがいけない
症例18 診断カテでも
症例19 左主幹部が解離
症例20 Deep engageが原因
症例21 造影剤で解離
症例22 石灰化病変には注意
■ キンクして抜去困難
[なぜ生じる?] 血管の問題/カテーテルの問題
[どうする?] 透視を見てローテーション/抜去後は
症例23 橈骨動脈でキンク
症例24 上腕動脈でキンク
■ 操作中の落とし穴は沢山
[どんなことがある?] 基本的操作/ダンピング/血圧低下/空気塞栓/血栓形成/コレステロール塞栓症
症例25 左主幹部で塞栓
症例26 空気塞栓を吸引
症例27 Blue toe例
症例28 こんなデブリスが出てくる
3. ガイドワイヤー
■ ガイドワイヤーがスタックや断裂する状況とは?
[なぜ生じる?] CTO病変/分岐部病変/ステント同士/びまん性病変
[どうする?] マイクロカテーテルを用いる/断裂したら
症例29 マイクロカテーテルを利用
症例30 EN SnareⓇで抜去
症例31 Goose Neck™ Snareで抜去
症例32 ワイヤーが完全抜去できず,外科的治療
症例33 トラップ,断裂したワイヤーをステントでカバー
■ ステント側枝のワイヤーが偽腔に迷入
[なぜ生じる?] リクロスの部位/ガイドワイヤーの種類
[どうする?] 迷入ポイントを推測する/ 2ndワイヤーを用いる/IVUSガイド?
症例34 虚血の兆候はなく,ベイルアウトせず終了
症例35 テーパーワイヤー使用
症例36 リバースワイヤーが有効
4. IVUS
■ IVUSスタック
[なぜ生じる?] Exit portでスタックする/スタックしやすい状況/ワイヤーとのセパレートも危険
[どうする?] 引っ張らない/遠位部へ押す/バルーンを用いる/その他
[最後の一手は何か? どこで諦めるか?]
手技1 IVUSを押してローテーション
症例37 IVUSをローテーションし抜去
手技2 スタック部位をバルーニング
症例38 バルーニングし抜去(1)
症例39 バルーニングし抜去(2)
症例40 バルーニングし抜去(3)
手技3 トランスデューサーを抜去(1)
手技4 トランスデューサーを抜去(2)
症例41 トランスデューサーを抜去
手技5 元のワイヤーにバルーン通過
症例42 バルーンで押して抜去(1)
症例43 バルーンで押して抜去(2)
手技6 子カテを用いる
手技7 ワイヤーを引いてみる
5. バルーン
■ デフレートできない
[なぜ生じる?] 稀だが危険/シャフトに異常
[どうする?] できることは何か?/切断してみる/子カテを用いる/手術?/Cutting balloon ?/ガイドワイヤーを用いる?/過拡張?/レーザー,ロータブレーター?/その他
症例44 デフレートできなかった左前下行枝症例
手技8 HeartrailⓇ ST01でベイルアウト
症例45 5Fr ST01でベイルアウト
■ Ruptureしてしまった
[なぜ生じる?] 冠動脈損傷は生じる?/原因は?/稀な症例
[どうする?] デフレートし,造影する/穿孔を生じたら/石灰化病変だったら
症例46 Ruptureして末梢が解離
症例47 Ruptureして冠動脈穿孔
症例48 Ruptureしてステントにスタック
6. ステント
■ 脱落と回収
[なぜ生じる?] 以前のステント/原因は/子カテが危ない/脱落予防をする
[どうする?] 冠動脈外に回収/バルーンを用いる/留置してしまう/体外へ回収/上肢から回収/下肢から回収
症例49 EN SnareⓇと異物除去鉗子を使用
症例50 EN SnareⓇを使用
症例51 上腕動脈を順行性に穿刺
手技9 上腕動脈を順行性に穿刺
症例52 シースインシース
手技10 4 in 6Fr シースの実験
症例53 その場に留置
症例54 ガイディングカテーテル内でバルーントラップ
■ ステントの外をバルーン拡張してしまった
[なぜ生じる?] 分岐部に注意/バルーンの性能向上
[どうする?] 再拡張をする/IVUSを用いる/ダブルルーメンカテーテルを用いる
[発症予防のポイントは?]
症例55 左主幹部のバルーニングでcrush
症例56 左主幹部のステントをガイドカテで変形
■ ステントの遠位端が偽腔や側枝に留置
[なぜ生じる?] CTOに多い/側枝に迷入
[どうする?] Antegrade wiringは無理/IVUSを用いる/Antegrade dissection reentry device を行う/Retrograde approachを行う/ステントの遠位端が側枝に留置
症例57 ステント遠位が偽腔に留置(1)
症例58 ステント遠位が偽腔に留置(2)
症例59 ステント遠位が側枝に留置
7. ロータブレーター
■ Rota burr がスタックしてしまった
[なぜ生じる?] 構造に起因/病変に起因
[どうする?] Rota burrを引っ張る/Cokkateを用いる/ガイドエクステンションカテーテルを用いる
症例60 屈曲でスタック,引っ張って抜去
症例61 近位側をバルーン拡張
症例62 子カテを用いた
症例63 ステントが抜去
症例64 ステントでスタック,手術施行
症例65 いかなるベイルアウト法も無効
■ 穿孔はどんなところで生じうるのか
[なぜ生じる?] 屈曲部/大弯側/ワイヤーバイアス
[どうする?] 通常のバルーンで止血/オーバーザワイヤーバルーンで止血/外科手術の考慮
症例66 Oozing perforation
症例67 分岐部で穿孔
症例68 屈曲部で穿孔
症例69 オーバーザワイヤーバルーンで止血
■ なぜRG3ワイヤーを使ってはいけない?
[なぜいけない?] 操作性の低いRota Wire™/Tornusを用いてRota Wire™挿入/RG3ワイヤーが有効?/RG3ワイヤーは断裂する
[どうする?]
症例70 RG3ワイヤーが有用
症例71 RG3ワイヤーは危険
■ 特殊な冠動脈穿孔
[なぜ生じる?] Rota clip は重要?/Rota clip が外れると……/同軸に挟む/穿孔を生じる
症例72 Rota clip が外れて冠動脈穿孔
8. DCA
■ DCAとガイドワイヤーがスタックしてしまった
[なぜ生じる?] ATHEROCUTの特徴/支持体が問題/ガイドワイヤーがスタック/ガイドワイヤーが回転/石灰化病変には注意
症例73 石灰化プラークへのDCAでワイヤー穿孔
■ DCAがステントにスタックしてしまった
[なぜ生じる?] DCAの適応/DCAのウインドウに引っかかる/ステント留置早期の,近傍へのDCAは危険
[どうする?]
症例74 DCAウインドウにステントがスタック
9. Slow flow/No reflow
■ Slow flow/No reflow
[なぜ生じる?] Slow flow/No reflow とは/PCIに起因するno reflow/ハイリスク症例
[どうする?] Direct stent/末梢保護デバイス/No reflow への対応
症例75 ロータブレーターでno reflow
症例76 不安定プラークの治療でショックへ
症例77 末梢保護デバイス使用
10. 冠動脈解離,冠動脈血腫
■ 冠動脈解離,冠動脈血腫
[なぜ生じる?] 解離は合併症?/分類/手技要因/プラーク要因
[どうする?] 造影をせず,IVUSを用いる/ステント留置/リエントリー作成/ステント挿入後の解離には
症例78 バルーンでらせん状解離
症例79 右冠動脈末梢まで解離が進展
症例80 Cutting balloonが有用
症例81 ステント近位側の血腫が進展
11. 冠動脈穿孔
■ Wire perforation
[なぜ生じる?] ガイドワイヤー穿孔/末梢穿孔は気付きにくい/ガイドワイヤーの種類に注意
[どうする?] 心タンポナーデに至りうるか?/止血しつつ出血部を探す
[塞栓子は何にする?] 塞栓子になりうるもの?/脂肪塞栓のポイント/コイル塞栓のポイント
症例82 ワイヤー穿孔をベイルアウトできなかった例
手技11 脂肪塞栓の手順
症例83 通常の脂肪塞栓施行
症例84 Caravelで脂肪塞栓
症例85 直ちに脂肪塞栓を施行
症例86 バルーン止血を行いつつ脂肪塞栓
症例87 GelfoamⓇで塞栓
症例88 中隔枝を双方から脂肪塞栓
症例89 3カ所の血管を塞栓
症例90 中隔枝をコイルで塞栓
手技12 マイクロカテ生食注入量のテスト
手技13 脂肪塞栓の方法(筆者流)
手技14 各種コイルの紹介と使用法
Blow out perforation
[なぜ生じる?] デバイスオーバーサイズ/デバルキングデバイス/屈曲とワイヤーデバイス
[どうする?] ベイルアウトの概要
[Perfusion balloonの使用のポイント] スペックを知っておく/デリバリー性能は悪い
/拡張圧/ヘパリンの調整
[GRAFTMASTERⓇステント留置のポイント] 子カテを使用/留置の部位/拡張圧/留置部位
と拡張不十分の判断/鑑別するには
手技15 Blowout perforation 後のperfusion balloon の持ち込み方
症例91 Perfusion balloonのみで止血(1)
症例92 Perfusion balloonのみで止血(2)
症例93 GRAFTMASTERⓇで止血
症例94 Blowout perforation を早期に収束できなかった例
症例95 心タンポナーデにならないようにベイルアウトした例
12. HIT
■ ヘパリン起因性血小板減少症
[なぜ生じる?]
[どうする?] HITを疑う/ヘパリンを中止/アルガトロバン開始/PCIでベイルアウトする/治療を諦めない/治療後は?
症例96 超重症HIT症例
13. その他の合併症や症例
■ コイル脱落の回収不能例
症例97 コイルが脱落してしまった痛恨の1例
■ 自然冠動脈解離
症例98 保存的に経過をみて軽快した1例
■ 大動脈解離に冠動脈解離を併発した急性心筋梗塞例
症例99 ステント留置後にオペ(1)
症例100 ステント留置後にオペ(2)
14. ベイルアウト等で使用されるデバイス
■ ベイルアウト等で使用されるデバイス
索引