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脊椎脊髄損傷アドバンス 改訂第2版

総合せき損センターの診断と治療の最前線

脊椎脊髄損傷アドバンス 改訂第2版
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筆頭著者 前田 健 河野 修 (編)

南江堂

電子版ISBN 978-4-524-20853-1

電子版発売日 2023年5月29日

ページ数 252

判型 A4

印刷版ISBN 978-4-524-24538-3

印刷版発行年月 2023年4月

DOI https://doi.org/10.15106/9784524245383

書籍・雑誌概要

総合せき損センターの最前線の治療とその豊富な治療実績をまとめた脊椎脊髄損傷医療の比類なき実践書.チーム医療の観点から,急性期の診断と治療,合併症予防,リハ,社会復帰まで,一貫した「せき損センタースタンダード」を示した.今改訂では,前版刊行後に行われた疫学調査,症例数が増加した骨粗鬆症性椎体骨折,再生医療の各項目を新たに追加.また,「診断と評価」と「治療戦略」の項目を部位別にまとめ,一連の流れがいっそう分かりやすくなった.

目次

【内容目次】
 Ⅰ.疫学
 A わが国における脊髄損傷の現状
  ①福岡県における疫学調査結果
  ②他の地域における疫学調査結果
 B 脊髄損傷データベース
  ①せき損センターのおける脊髄損傷データベース運用
  ②患者の高齢化に伴う問題点―せき損センターにおける脊損データベース解析結果より

Ⅱ.急性期から慢性期までの治療の流れ
 A 総合せき損センターの特色
  ①一貫した治療システム―救急搬送から社会復帰まで
  ②チーム医療
 B 急性期の診断と治療
  ①急性期の診察・検査の流れ
  ②急性期における治療法の選択手順
  ③患者・家族への説明
 C 予後および脊髄損傷後遺症についての告知とその時期
  ①麻痺の予後
  ②脊髄損傷後遺症の告知とその時期
  ③心理的サポート
  ④社会的サポート

Ⅲ.麻痺の評価とその予後
 A 脊髄損傷の分
  ①さまざまな分類の意義と用語の定義における混乱
  ②完全麻痺と不全麻痺
  ③頚髄損傷でみられる損傷型
  ④胸腰椎移行部損傷の特殊性―脊髄損傷と馬尾損傷
 B 麻痺の評価法
  ①横断面の評価―改良Frankel分類とsacral sparingの重要性
  ②損傷高位の評価
  ③麻痺評価における時間軸の考慮
  ④国際的な神経学的評価法(ISNCSCI)
 C 脊髄ショックの意義
  ①脊髄ショックとは?
  ②ショックからの離脱が早いほど回復がよい
 D 麻痺の自然経過
  ①不全麻痺における受傷直後の急激な麻痺回復
  ②麻痺悪化例の把握―高位の悪化と横断面の悪化
  ③麻痺の回復が期待できる徴候―早期反射出現(BCR,PTR,planterresponse),痛覚残存,不随意運動
  ④麻痺はいつごろまでどの程度まで回復するのか?
  ⑤完全麻痺と判断してよいのはいつごろか?
 E 急性期の麻痺評価における問題点―治療結果に関する議論が噛み合わない原因は何か?
  ①評価の時期(受傷直後,搬入時,術前,転院時など)の不一致やISNCSCIの理解不足2
 F 損傷脊髄に対する治療は,麻痺の経過に影響を与えるか?
 G 診察におけるポイントと簡便な診察法(Knee-up test)
  ①仙髄領域の診察―AISAか否か
  ②痛覚残存の有無(痛覚は早期の運動回復)
  ③膝立の可否(AISCとDの簡単な見分け方)
  ④心因性麻痺の鑑別(knee-up test)

Ⅳ.急性期における全身への影響とその管理
 A 呼吸器系―呼吸障害による痰の貯留に注意
  ①呼吸器系―呼吸障害による痰の貯留に注意
  ②気管切開のタイミング
  ③人工呼吸管理
  ④呼吸補助筋とその強化
 B 循環器系―低血圧に過剰輸液は危険(出血性ショックではない)
  ①低血圧と徐脈の病態
  ②起立性低血圧
 C 血栓症―下肢の腫脹に注意
  ①深部静脈血栓塞栓症(DVT),静脈血栓塞栓症(VTE)
  ②肺動脈血栓塞栓症(PTE)
 D 消化器合併症―潰瘍は見逃しやすい
  ①消化管潰瘍
  ②潰瘍穿孔による腹膜炎
  ③麻痺性イレウス
  ④急性胆嚢炎,胆管炎
  ⑤経口摂取の時期
 E 高血糖と麻痺の関連―高血糖は麻痺増悪因子

Ⅴ.下部尿路機能障害
 A 高血糖と麻痺の関連―高血糖は麻痺増悪因子
  ①正常の蓄尿と排尿とは?
  ②蓄尿のメカニズム
  ③排尿のメカニズム
 B 神経因性膀胱とは?
  ①定義
  ②病態の評価
 C 急性期から回復期の排尿管理
  ①急性期の尿路管理―尿道留置カテーテルから
  ②回復期の尿路管理―尿路管理法の選択
 D 回復期の尿路管理―尿路管理法の選択
  ①上部尿路機能/腎機能の保護
  ②生活の質(QOL)の改善―尿失禁の対処
  ③合併症のコントロール

Ⅵ.画像診断
 A 当センターでの画像診断の流れ
 B 単純X線
  ①前後像
  ②側面像
 C CT
  ①2DCT
  ②3DCT
 D MRI
  ①軟部損傷所見
  ②損傷脊髄の経時的変化と麻痺の推移:MRIで麻痺の予後予測は可能か?
  ③MR angiography―椎骨動脈損傷の評価はいかに?

Ⅶ.頸椎損傷
 A 上位頚椎損傷
  ①環椎破裂骨折(Jefferson骨折)
  ②歯突起骨折
  ③hangman骨折(軸椎関節突起間骨折,spondylolisthesis of the axis)
  ④軸椎椎体骨折
  ⑤外傷性環軸椎脱臼
 B 中下位頚椎損傷
  ①損傷分類
  ②診断における留意点
  ③損傷型(Allen-Ferguson分類)別治療法

Ⅷ.非骨傷性頸髄損傷
 A 非骨傷性頚髄損傷に関する問題点
  ①非骨傷性頚髄損傷に関する問題点
  ②疫学からの問題
  ③損傷高位に起因する問題
  ④外傷性頚髄損傷なのか? 圧迫性頚髄症の急性増悪なのか?
  ⑤既存の狭窄と外傷による新規圧迫―基礎研究からの示唆
  ⑥手術の目的あるいは意義
  ⑦治療効果の評価法
 B 当センターにおける治療の変遷
  ①可及的早期手術期
  ②多施設前向き研究―既存の狭窄を有する頚髄損傷に対する除圧術が麻痺回復へもたらす効果
  ③急性期保存的治療
 C 今後の課題
  ①センターの研究結果と残された問題点
  ②OSCISstudyの結果を踏まえて
  ③定義や用語に関する問題―骨傷分類の中での位置付け
  ④外傷性頚髄損傷と圧迫性頚髄症(急性増悪)との区別およびその必要性
  ⑤評価法や評価時期の統一による治療効果判定の必要性
  ⑥手術の意義の明確化―麻痺回復を促進するのか? 二次損傷や麻痺悪化を予防できるのか?
  ⑦慢性期における麻痺悪化例の評価および対策

Ⅸ.胸・腰椎損傷
 A 脊髄と馬尾損傷
  ①麻痺の評価法と部位別の麻痺重症度
  ②麻痺の経過
 B 損傷型分類
  ①Denis分類
  ②AO分類
 C 手術適応―The thoracolumbar injury classification and severity score(TLICS)から
    Thoracolumbar AOSpine Injury Score(TL AOSIS)へ
 D 破裂骨折
  ①麻痺重症化の危険因子
  ②遺残骨片と麻痺改善
  ③当センターでの破裂骨折の治療の変遷 前方か,後方か,前方+後方か?
  ④後方単独手術の問題点―前方支柱は必要か
 E 脱臼骨折
  ①高位別脱臼の特徴と手術法
  ②後方固定術の適応と限界

Ⅹ.骨粗鬆症性椎体骨折
 A 後方固定術の適応と限界
  ①後方固定術の適応と限界
  ②椎体骨折の診断―座位・仰臥位による単純X線動態撮影とMRI脂肪抑制T2強調画像
 B 保存的治療―どのような外固定がbestか?
 C 偽関節と遅発性神経麻痺
  ①偽関節の頻度
  ②遅発性麻痺の発生機序
  ③治療と問題点
 D 椎体骨折後の後弯変形
  ①保存的治療
  ②BKP
  ③PVCR

ⅩⅠ.特殊な脊椎に起因する脊椎脊髄損傷
 A 小児の脊髄損傷
  ①いわゆるSCIWORAの病態
  ②小児期の脊髄損傷の問題点
  ③スポーツ(体育授業を含む)による脊髄損傷
 B 強直性脊椎に合併した脊椎脊髄損傷
  ①脊椎強直を呈する病態
  ②診断における問題点
  ③治療上の問題点
  ④低侵襲手術や保存的治療の可能性

ⅩⅡ.慢性期の諸問題
 A 全身
  ①起立性低血圧
  ②高位頚髄損傷に伴う呼吸不全に対する管理とNPPVの応用
 B 四肢・体幹
  ①拘縮―ADL阻害因子となる拘縮をいかに予防するか?
  ②痙縮とそのコントロール
  ③麻痺領域の痛みとその治療
  ④褥瘡
  ⑤異所性骨化
  ⑥神経病性脊椎症と麻痺性脊柱変形
  ⑦外傷性(外傷後)脊髄空洞症
 C 社会復帰支援
  ①利用し得る社会的資源(介護保険,障害者総合支援制度など)
  ②社会復帰のための環境整備
  ③ケアプランの策定を含めた具体的アプローチ

ⅩⅢ.リハビリテーション
 A リハビリテーションの実際
  ①急性期―成功のカギを握る急性期からの積極的なリハビリテーション介入
  ②回復期―残存能力を最大限引き出してADLの向上を目指す
 B リハビリテーションの課題
  ①リハビリテーションの阻害因子
  ②ロボットリハビリテーション
  ③電気刺激療法(治療的電気刺激と機能的電気刺激)

ⅩⅣ.看護法
 A 排痰介助を含めた呼吸管理
  ①体位変換(体位ドレナージ)
  ②用手排痰介助
 B 排泄管理
 C 食事介助
 D 体位管理と褥瘡予防―時間を決めた体位変換,棒坐などの道具の使い方
 E 体温管理―頚髄損傷患者のうつ熱をいかに予防するか? 通常の発熱との鑑別点
 F 移乗介助―移動用リフト(リフター)を利用すれば安全かつ介護者の負担にならない
  ①移動用リフト(リフター)による移乗(損傷高位C5以上の頚髄損傷患者)
  ②前方アプローチによる移乗(C6Bレベル以下の頚髄損傷患者および上肢筋力の弱い胸・腰椎損傷患者)
  ③側方アプローチによる移乗―胸・腰椎損傷患者および肩関節周囲筋力の強い頚髄損傷患者
  ④介助者1 人による軽介助での移乗(ある程度下肢支持性のある不全麻痺患者)
 G 心理的サポート―医師だけではカバーできない患者の心理的側面にいかに寄り添うか?
 H 自宅復帰に向けた家族指導

ⅩⅤ.脊髄損傷医療の現状と課題
 A わが国における脊髄損傷医療環境の現状
 B 脊髄損傷医療経済

ⅩⅥ.脊髄損傷治療研究の現状―薬物ならびに細胞移植療法
 A 脊髄損傷の病態
  ①一次損傷と二次損傷
 B 薬物療法研究の現状
  ①顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)
  ②肝細胞増殖因子(HGF)
  ③抗Repulsive Guidance Molecule-a(RGMa)抗体
 C 細胞移植研究の現状
  ①活性化マクロファージ
  ②シュワン細胞
  ③嗅神経鞘細胞(OEC,OEG)
  ④嗅粘膜(OM)
  ⑤間葉系幹細胞(MSC)/間葉系間質細胞
  ⑥骨髄由来単核球細胞
  ⑦末梢血幹細胞(CD34陽性細胞)
  ⑧歯髄幹細胞
  ⑨胎児由来神経幹/前駆細胞
  ⑩胚性幹細胞(ES細胞)由来神経幹/前駆細胞
  ⑪ES細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)
  ⑫人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来神経幹/前駆細胞
  ⑬Muse細胞
 D 患者を取り巻く環境
  ①再生医療ツーリズム
  ②脊椎損傷に対する自由診療の実態
  ③新規脊髄損傷治療の実用化への課題

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