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心臓血管外科エキスパートが分析する“術中危機的状況”
ピットフォールとリカバリー
筆頭著者 横山 斉 (監)
その他の著者等 夜久 均/種本 和雄/東 信良/志水 秀行/福井 寿啓/岡本 一真
南江堂
電子版ISBN 978-4-524-23004-4
電子版発売日 2020年12月7日
ページ数 288
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-524-22747-1
印刷版発行年月 2020年11月
書籍・雑誌概要
本邦の第一人者がピットフォールとリカバリーをまとめた心臓血管外科必修テキスト。日常的に遭遇する「術中危機的状況」から、滅多に経験しないが重要な「術中危機的状況」まで、エキスパートが網羅的に解説。原因、予防、対策、勘所のほかに、普段はなかなか聞けない稀な症例の紹介も。専攻医だけでなく指導医にとっても役に立つ、即臨床につながるcritical case scenarioテキスト。
目次
【内容目次】
I.人工心肺/心筋保護トラブル
1.静脈還流異常が存在する
2.体外循環開始前にACTが目標値まで上がらない
3.人工心肺回路内に血液凝固を認める
4.送血圧が高い
5.ポンプが急に停止した
6.貯血槽のレベルがじりじり低下する
7.陰圧補助脱血時に脱血できなくなった
8.人工肺で酸素化不良がある
9.頭部rSO2が低下する
10.血中乳酸値が上昇する
11.送血回路に気泡を誤送した
12.ベント回路から気泡を誤送した
13.順行性心筋保護注入圧が上がらない
14.逆行性心筋保護注入圧が上がらない
15.大動脈遮断し心筋保護液を注入しても心停止が得られない
16.大動脈遮断後もすぐに心拍が再開する
17.大動脈遮断解除後に心拍が再開しない.心室細動が持続し除細動できない
18.体外循環終了後に急に血圧が低下した
II.冠動脈トラブル
1.静脈グラフト(SVG)損傷
2.SVGが細い,静脈瘤がある
3.内胸動脈(ITA)損傷
4.ITA?離時の鎖骨下静脈損傷
5.ITAの流量が少ない
6.右内胸動脈(RITA)が標的冠動脈に届かない
7.中枢側吻合で大動脈が解離した
8.中枢側吻合部が石灰化している
9.中枢側吻合のやり直し
10.標的冠動脈がみつからない
11.冠動脈が心筋内を走行している
12.冠動脈が石灰化している
13.冠動脈切開時に後壁を損傷した
14.冠動脈切開が正中ではなかった
15.冠動脈吻合の追加針/やり直し
16.吻合時に冠動脈が裂けた
17.吻合後のSVGが屈曲している
18.吻合後のITAグラフト流量が10mL/分以下であった
19.心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)でのトラブル
III.大動脈弁置換術
1.大動脈切開部が右冠動脈に近過ぎた
2.大動脈切開部が牽引で裂けてしまった
3.強固な弁輪の石灰化
4.大動脈弁輪の石灰塊を切除したら弁輪が穿孔した
5.大動脈弁輪にかけた糸を引っ張ったら裂けた
6.STJが狭くて人工弁を弁輪に落とせない
7.大動脈閉鎖時に大動脈壁石灰化のため針が通らない
8.人工心肺離脱中に心電図のSTが持続的に上昇する
9.大動脈遮断解除後に心室細動となり除細動を繰り返すが戻らない
10.送血管抜去後の出血がなかなか止まらない
11.人工心肺離脱中に経食道心エコーで弁周囲逆流を認めた
12.生体弁置換術後の経食道心エコーで弁中央から高度の逆流を認めた
IV.僧帽弁置換術
1.僧帽弁の視野が不良
2.強固な弁輪石灰化
3.縫着した機械弁が僧帽弁下組織で開かない
4.人工心肺離脱中の経食道心エコーで僧帽弁位に逆流を認めた(PVL,生体弁)
5.人工心肺離脱中の経食道心エコーで中等度の大動脈弁閉鎖不全を認めた
6.人工心肺離脱中に心臓の裏から突然出血が始まった
V.僧帽弁形成術
1.弁輪が石灰化している
2.逸脱部分を大きく切除し過ぎた
3.人工弁輪を縫着したら前尖が歪んだ
4.乳頭筋に人工腱索を縫着する際に左室内の視野が不良
5.人工心肺離脱中の経食道心エコーで中等度のMRを指摘された
6.人工心肺離脱中の経食道心エコーで弁輪に当たるジェットを指摘された
7.人工心肺離脱中の経食道心エコーでSAMを指摘された
8.大動脈遮断解除後に心室細動となり除細動を繰り返すが戻らない
VI.MICS
1.大腿動脈送血で逆行性大動脈解離
2.視野不良
3.三尖弁の視野展開不良
4.順行性心筋保護液を注入しても心停止が得られない
5.下行大動脈に著明な石灰化がある
6.胸壁からの出血が止血できない
7.出血源が特定できない出血が続く
8.肺が邪魔で止血確認が困難
9.下肢カニュレーション側の下腿rSO2が低下した
10.大腿動脈からの送血圧が高い
11.interrupted IVCが存在する
12.Lt.SVCが存在する
13.右内頸静脈からの脱血管留置でSVCを損傷した
VII.大動脈手術
1.吻合部から出血した
2.分枝再建のやり直しが必要になった
3.人工血管が余剰で屈曲した
4.エレファントトランク(OSGを含む)が屈曲した・偽腔に入ってしまった
5.開胸時に無名静脈・肺動脈を損傷した
6.急性大動脈解離で人工心肺中に“送血圧が上昇し,流量が取れない”と指摘された
7.IEで大動脈弁輪部~冠動脈が破壊されていた
8.基部置換で冠動脈ボタン部から出血した
9.基部置換で冠動脈ボタンが屈曲した
10.予定外でCABGが必要になった
11.予定外でAVRが必要になった
12.食道を損傷した
13.肺を損傷した
14.反回神経を温存できなかった
15.術中MEPが消失した
16.ステントグラフト治療中に急に血圧が低下した
17.ステントグラフトが分枝動脈にかかってしまった
18.ステントグラフト後にエンドリークが残ってしまった
VIII.末梢血管手術
A.腹部大動脈瘤開腹手術
1.吻合予定腹部大動脈壁に粥腫が著明で縫合に自信がない
2.腸骨静脈を損傷した
3.腸の色調が悪い(血中ラクテート値が上昇していく)
4.腸がむくんで閉腹できない
B.EVAR
5.デバイスの外腸骨動脈通過にかなりの抵抗を感じる(あるいは腸骨動脈をデバイス通過時に損傷した)
6.造影でIMAが非常に太く写った
7.一方の腎動脈のmm末梢を狙ったつもりであったが,その腎動脈の入口部を塞いでしまった
8.腎動脈のすぐ末梢を狙ってデプロイしたが,Type IAが出て,再度バルーン拡張するも,エンドリークが止まらない
9.デバイスが血管内に残って回収できない
C.末梢動脈バイパス
10.末梢吻合予定の標的動脈がみつからない
11.バイパスしたがグラフトの拍動が弱い
12.グラフト拍動は非常に良好だが,血流量が不安定
13.吻合している最中に血栓が生じた
14.completion angiographyを行ったところ,グラフトの途中に薄く造影される部分を認めた
15.静脈グラフトを採取していたら,静脈にまとわりつく線維が邪魔で取り除いた
D.末梢動脈のEVT
16.ガイドワイヤーが病変を通過したが,バルーンが通らない
17.POBAで終わろうと思ったが,造影でわずかに解離を認めた
18.バルーン拡張後にslow flowになってしまった
E.静脈瘤治療
19.下肢静脈瘤手術(血管内焼灼術あるいはストリッピング手術)において伏在静脈に接している神経の損傷が心配される
20.下肢静脈瘤血管内焼灼術中にエコーで血栓が大腿静脈に突出していることが判明した
索引