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作業療法の曖昧さを引き受けるということ

作業療法の曖昧さを引き受けるということ
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筆頭著者 齋藤 佑樹 (他著)

その他の著者 上江洲聖 著

医学書院

電子版ISBN 978-4-260-65057-1

電子版発売日 2023年10月16日

ページ数 256

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-260-05057-9

印刷版発行年月 2023年10月

DOI https://doi.org/10.11477/9784260650571

書籍・雑誌概要

作業療法の臨床場面をマンガで描き出した新時代の羅針盤

作業療法は個別性が高く、どんな強固なエビデンスに基づいていたとしても、選んだ道が確かであるとは言い切れない──本書は、常にゆらぎのある臨床の最前線で、その曖昧さを引き受ける覚悟を決め、真摯に対象者との協働実践を続ける作業療法士に向けた新時代の羅針盤です。

目次

第1話 臨床実習で初めてわかること
 あらゆる思い込みを排除して対象者と向き合う
   使い慣れた専門用語で思考を停止させない
   自己防衛的な思考を排除し、状況を中立的にとらえる
   あらゆる情報を統合して考える
   「拒否されない」=「ラポールがとれている」ではない
   拒否すらできない対象者もいる

第2話 作業療法でやるべきことは広く深い
 対象者のことを考える力を養う
   「技」と一緒に「頭の中」を共有する
   クリニカルリーズニング
   エビデンスに基づく作業療法とは
   仮説を正当化する解釈をしていないか?
   答えの出ない状況に耐える

第3話 目標の満足度を確認する
 作業療法は対象者と「協働」することが大切
   評価は対象者が自分自身と向き合う時間
   よい評価は対象者をエンパワメントする
   「一緒に考える」姿勢
   選択した手段の利点と注意点の両面を考える

第4話 検査・測定の目的と価値
 評価計画を立案する際の要点
   「なぜ評価するのか?」を考える
   評価計画に迷ったら作業療法の目的に立ち返る
   対象者は作業療法士を「何者」だと思っているか?
   「聞き取り」ではなく「共有」
   「話をする」のではなく「面接」を行う
   評価すべき項目は面接評価が教えてくれる
   トップダウンとボトムアップ

第5話 病院から自宅へ退院するために必要なこと
 対象者が望ましい形で住み慣れた地域に戻るために
   チームで情報を共有する
   入院は本来の作業遂行文脈から乖離した状況
   「早期退院」や「リハビリテーションからの卒業」の弊害
   納得した上で住み慣れた場所に戻る

第6話 目標設定の目的を伝える
 自分を知り、巨人の肩に乗る
   本当の問題は何か?
   必要な説明をしているか?
   自己防衛的な思考や行動選択の習慣を内省する
   対象者は作業療法士の心の中を敏感に感じとっている
   負のループに陥らないように準備をしておく
   先人たちに聞いてみる
   孫引きしながら情報をさかのぼる
   コスパだけを求める努力は、最もコスパが悪い
   目の前の対象者と真摯に向き合いながら巨人の肩に乗る

第7話 入院する対象者の心理
 「なぜするのか?」を問い続ける
   心の中を推察する
   対象者の変化を直線的にとらえない
   作業的存在としての諸次元を意識する
   理解しようと「し続ける」
   「何をするのか?」よりも「なぜするのか?」
   日ごろから思考を言語化しておく

第8話 自宅評価と家族支援
 環境の影響を理解し、最大限活用する
   「環境因子」は広い概念
   思いを代弁することも大切な環境調整
   地域特有の文化や活用可能な社会資源を理解する
   環境によって対象者の作業遂行は大きく変化する
   対象者の「適応の幅」を考える
   住み慣れた場所で評価を行う
   対象者の「その人らしさ」は家族にも影響を与える
   メリットとデメリットの両面を常に意識する

第9話 目標設定が難しいケースの考え方
 協働するために真の理解者になる
   まず「理解者」であること
   自分の中に理想の姿を設定すると、目の前の対象者が見えなくなる
   「手段」にばかり関心が向くときには注意が必要
   常に「協働」を意識する
   作業療法の期間に起承転結を求めない
   真のエンパワメントを考える

第10話 課題を解決できるようにする支援
 「対象者に寄り添う」とは
   作業療法士は「説明をしていないこと」が多い
   対象者は「作業も作業療法も知らない」という現実
   「これから一緒に考えていきたい」旨を伝える
   対象者が想起しやすい工夫を行う
   対象者のわずかな変化を見逃さない
   望ましいタイミングで面接評価を行う
   準備をしながら待つ
   自分がつくり上げた「型」に当てはめようとしない

第11話 退院後の長い生活を見据える
 「その人らしさ」を共有する
   環境が「その人」を「患者」にする
   家族指導で共有すること
   「その人らしさ」の共有はチームアプローチを円滑にする
   対象者の人生の「ほんの一瞬」にかかわっているという感覚
   作業療法で大切にしている視点を自分にも
    ▪ 認知症を抱える高齢者の目標設定について

第12話 振り返りとこれから
 対象者の大切な作業を共有する
   対象者と一緒に言語化する
   対象者が大切な作業を想起しやすい工夫を行う
   どのような話題から進めていくべきか
   作業の三つの側面を意識しながら面接を進める
   なぜその作業が大切なのか?
   大切な作業は、ただ自立すればよいわけではない
   作業の持つ力を扱うということ
   思いを定量化する
   評価の信頼性は協働の程度に比例する
   背負う強さとは?

第13話 作業療法をすることで作業療法士になる
 皆でよりよい作業的存在になるために
   臨床実習指導は「作業療法」そのもの
   理想と現実の間を生きる
   自分の大切な作業を大切にするために
   曖昧さ=自由と責任
   作業療法は「よく生きる方法」

付録
 原作者・上江洲の感性を磨いた作品
 本書の誕生秘話

索引

column
 ①勉強しなきゃって思うけど、何から勉強すればいいの?
 ②対象者と目標を共有することは難しい?
 ③開放系
 ④巨人の肩に乗る
 ⑤事例報告を書こう!
 ⑥意味のある作業の実現を支援する多職種連携の工夫
 ⑦なんで学会に参加するの?

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