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二関節筋の協調制御理論

重力が育てた運動制御のメカニズム

二関節筋の協調制御理論
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筆頭著者 熊本 水賴 (著)

その他の著者等 石井 慎一郎

医学書院

電子版ISBN 978-4-260-64327-6

電子版発売日 2021年11月22日

ページ数 200

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-260-04327-4

印刷版発行年月 2021年10月

DOI https://doi.org/10.11477/9784260643276

書籍・雑誌概要

人間存在の原点にして運動制御理論の革新的存在「二関節筋」を洞察した著者渾身の作人間存在の原点でもある二の腕の力こぶ「二関節筋」。本書は進化史から紐解く二関節筋のルーツの話を端緒に、最新の知見や理論体系を紹介する。①これまでの関節トルクベースの考え方に代わり、二関節筋装備の協調制御システムによる力学体系に基づいた考え方をすべきという点の証明とその理解、②従来の解剖書の屍体解剖所見からの理解ではなく、生体こそが持つ運動機能へ視点を転換することの必要性などを中心に提示する。

目次

緒言

序章 二関節筋誕生前夜
 1 水中生物に始まる運動制御原理生成の進化史概要
  1 神経および横紋筋の誕生と神経‒筋緊密連関
  2 収縮機構の拮抗的配置と収縮の波動的伝搬
  3 横紋筋組織および神経組織の発達
 2 ナメクジウオS字状波動遊泳運動の意義
  1 ナメクジウオについて
  2 遊泳運動の動作解析
  3 予想される機能的筋配列
  4 仮想神経・筋支配回路網
  5 工学モデルによる検証実験
 3 後生動物に始まる運動制御システム進化史要約
 4 二関節筋誕生前夜

第1章 二関節筋“上陸劇”を演出,協調制御システムへの成長
 1 二関節筋のルーツはシーラカンスの胸鰭
 2 拮抗二関節筋対と両端に拮抗単関節筋対を備えたシステムが陸上進出を可能にした
  1 拮抗筋対制御システムの確立
  2 シーラカンスの胸鰭筋配列で陸上進出を可能とする条件
  3 コンタクトタースククリアと安定姿勢維持
  4 抗重力負荷に耐え体重支持は可能か
  5 鰭表層拮抗外転内転筋対の帰趨
 3 上陸成功後,陸上環境負荷が上位神経・筋回路網の再構築を可能にした
  1 上陸成功後重力環境から受ける負荷
  2 Kumaモデル負荷対応現象とヒト上肢筋群出力活動
  3 3対の拮抗筋を構成する6筋個々の出力方向
  4 全方位環境負荷対応による協調制御システム構築
  5 4脚による歩き出し
 4 人類2足歩行の誕生
 5 運動制御に関わる基礎理論の見直し
 6 総括

第2章 生体運動の基本エンジン:協調制御システム
 1 進化の所産としての人体四肢筋骨格リンク機構の成り立ち
  1 拮抗二関節筋取得が陸上四足動物四肢筋配列の起源
  2 ヒトの四肢筋配列に4億年の進化の足跡をみる
  3 上肢,下肢拮抗二関節筋対をなす筋群の起始・停止部の位置関係
  4 要素筋配列から実効筋配列概念へ
  5 屍体解剖所見から生体運動機能へ
  6 実効筋の符号化
  7 実効筋を構成する実在筋の内容変化
 2 人体四肢筋・骨格リンク機構の制御機能特性ならびに出力特性
  1 進化の所産として描かれる人体解剖図
  2 安定立位姿勢の制御
  3 拮抗筋群による出力制御,出力方向制御
 3 生体運動制御理論体系の再構築
  1 協調制御システムによる再構築
  2 屍体解剖所見を生体運動機能の視点から書き改める
  3 運動制御理論の見直し

第3章 協調制御システムの計測・評価プログラム
 1 協調制御システムの出力特性
  1 協調制御システムを構成する実効筋概念の再確認
  2 協調制御システムがリンク機構系先端に発揮する出力の分布は6角形を示す
  3 出力分布6角形の特徴
 2 協調制御システムを構成する実効筋力の計測・評価
  1 4点計測法
  2 実効筋力計測器
  3 計測結果
  4 融通無碍
  5 簡易実効筋力計測器
  6 徒手4点計測法(徒手実効筋力検査法)

第4章 協調制御理論に基づく動作解析と運動処方
 1 協調制御理論に基づく動作解析の目的
 2 動作解析方法論
  1 映像記録解析法
  2 筋電図動作解析法
 3 運動処方方法論
 4 進化史を通じ継承されてきた生体運動の原点としての乳幼児歩行
  1 胎動,原始歩行
  2 乳幼児歩行
 5 成人歩行
  1 成人歩行への成熟
  2 立位姿勢の確保
  3 立位姿勢の調整
  4 成人歩行
  5 FEMSプログラムによる成人歩行解析例
  6 フラット歩行の実効筋表示動作解析
  7 椅子からの立ち上がり
  8 走行
  9 跳躍動作
 6 上肢運動解析
  1 運動制御の起源
  2 ハンドスプリング回転運動
  3 ベンチプレス
  4 競技車椅子
  5 ベントオーバーローイング
 7 水上運動
  1 熟練者遊泳中の下肢筋活動パターン
  2 カヌー・ボート漕法
 8 スポーツ障害解析
  1 走運動
  2 跳躍動作
  3 蹴球動作
  4 スポーツ障害まとめ
 9 総括

第5章 協調制御理論の展開(Future direction)
 1 運動制御進化史総括
  1 人間存在の原点を考える
  2 二関節筋,重力負荷効果を立証する
  3 CPG(Central Pattern Generator)理論の再考察
  4 生体情報
  5 数百に及ぶ骨格筋の準備
 2 考察二関節筋研究史
  1 解剖学(目視)
  2 義務教育・一般教養社会常識レベルの問題点
  3 基礎神経生理学領域(電気生理学)
  4 神経生理学領域
  5 臨床領域
  6 臨床整形外科領域
  7 理学療法学領域およびバイオメカニクス(生体力学)領域
  8 医‒工連携領域
 3 将来展望
  1 生体型ロボット領域(操作領域)
  2 リハビリテーション工学領域
  3 4脚(Quadruped)移動ロボットMoeki ver.

付録 Kumaモデルの製作法
キーワード解説
あとがき
索引