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看護者のための
倫理的合意形成の考え方・進め方
筆頭著者 吉武 久美子 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-63129-7
電子版発売日 2017年7月17日
ページ数 132
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-260-03129-5
印刷版発行年月 2017年7月
書籍・雑誌概要
「患者と家族の意見が異なる」「患者の意思が尊重されていない」「医療者と患者の治療後の見通しにズレがある」など、意思決定支援の場面でみられるさまざまな倫理リスク。患者の意思や自律を尊重するという倫理原則は理解しているし、このままの状況では倫理的問題が起きそうなことにも気づいている。でも、実際にどのように対応すればよいかはわからないというあなたへ。本書は倫理リスクへの対応力を高められる1冊。
目次
はじめに
第1章 倫理的合意形成とは何かを知る
1 医療における倫理の捉え方
1 医療者の行為と倫理
2 多様な価値観と意思決定
3 倫理理論と倫理綱領
(1)倫理理論・原則論
(2)現代の倫理
(3)生命倫理の主要概念
(4)倫理綱領とガイドライン
4 倫理は「抽象的な概念」と「具体的な問題」を含む
2 医療における合意形成とは何か
1 合意形成はすべての支援の根幹にかかわる
2 空間(Space)・時間(Time)・マネジメント(Management):
STMの3方向で構成される合意形成の多様性
(1)空間(Space)
(2)時間(Time)
(3)マネジメント(Management)
3 病み,迷い,悩むという人間観
4 関係者(ステークホルダー),関心・懸念(インタレスト),
ファシリテーション
(1)関係者(ステークホルダー)
(2)関心・懸念(インタレスト)
(3)ファシリテーション
5 合意形成で期待されること・難しいこと
6 合意形成は理論と方法論を含む
7 医療における合意形成
(1)関係者の特徴
(2)多様な意見の存在を見えづらくする
(3)患者の意思の尊重
(4)「意見の理由」の共有と創造的な話し合い
(5)ファシリテーションと看護者
3 医療における意思決定支援と合意形成
1 パターナリズムはなぜいけないか
2 インフォームド・コンセントで大事にされること
3 シェアードモデル(共同意思決定)とは
4 意思決定支援の根幹となる合意形成プロセス
(1)合意形成モデル
(2)空間・時間・マネジメントと合意形成
(3)合意形成に基づくよりよい意思決定支援
4 倫理的合意形成とは何か
1 倫理的問題と倫理リスク
(1)因幡の白兎の神話を例にとって
(2)倫理原則に反する行為
(3)倫理的ジレンマ
(4)人と人との間で起きる倫理的問題
2 「レトロスペクション(振り返り)の見方」:
「理由の来歴」の共有
(1)「意見の理由」から「理由の来歴」の共有へ
(2)「レトロスペクション(振り返り)の見方」から現在を深く知る
3 「プロスペクション(先の見通し)の見方」:
倫理リスクの提示と共有
4 過去と未来を見据えた上で,現在すべきことを考える
5 倫理リスクに対処する倫理的合意形成
(1)倫理的問題発生の予防と問題発生時の解決のために
(2)倫理リスクに気づいたら
第2章 倫理的合意形成の進め方を知る
1 よい話し合いの運営方法を知る
1 話し合いの設定
(1)時間・場所・参加者の招集
(2)目標の設定
(3)進め方の共有
2 「よい話し合い」とは
3 話し合いの基本:話し合いの心得10か条を守る
(1)相手を否定しない・受け入れる態度を示す
(2)正しい答えではなく,互いの考え方を共有する
(3)頭をやわらかくして異なる立場でイメージする
(4)全員の意見を大切にする
(5)解決策として「よりよい答え」を探し続ける
4 円滑な運営のための環境への配慮
2 ファシリテーションの実際
1 ファシリテータとコミュニケーション技術
(1)コミュニケーションA:タテ軸からヨコ軸への情報共有
(2)コミュニケーションB:「理由の来歴」と未来のリスクの提示
(3)コミュニケーションC:怒り・批判・不満を表現する人への対応
2 空間・時間・マネジメント(STM)の視点から
みた話し合いの運営とファシリテータの役割
3 ファシリテータによる話し合いの運営
(1)司会と兼任する
(2)司会の補佐役としてファシリテータがつく
(3)チームで行う
4 ファシリテータに求められる能力:調整力・対話力・創造力
第3章 倫理的合意形成を臨床現場で活用する
[case 1]患者・家族・医療者の治療への変化する思い
倫理的合意形成プロセスの可視化
関係者の変化に応じたカンファレンスの設定
予測イメージの可視化
段階を踏んだ目標設定
[case 2]在宅で患者の意思が尊重された看取り
倫理リスクを察知したときの対処
倫理的合意形成は意思決定支援の根幹である
倫理的問題の発生を防ぐ備えとして
[case 3]容体が変化する新生児の最期
予後のイメージの変化と倫理リスク
タイムリーな話し合いの設定
第4章 ケースを通して倫理リスクに対応する力を高める
1 臨床現場でのケースを使った看護倫理の学習
[case 1]病名告知
考えてみましょう
学習ポイント
[case 2]身体拘束
考えてみましょう
学習ポイント
[case 3]重症障害児の人工呼吸器取り外し
考えてみましょう
学習ポイント
[case 4]在宅介護が困難な状況の中,家族が在宅療養を望む
考えてみましょう
学習ポイント
付章 研修で倫理的合意形成の体験を促進する
1 倫理的合意形成を学ぶ意義
2 講義型と討議・実践型を組み合わせる
3 多様な価値の共有を大切にする
4 モデルケースと実際のケースを使い分ける
5 倫理的問題の把握だけでなく,問題解決に向けた話し合いを行う
6 倫理リスクに対する話し合いのファシリテータを体験する
7 倫理研修のスケジュールを立てる
8 研修企画者と関係者が協働する
9 研修を実践にいかす
おわりに
索引