皮膚病診療 42巻1号 (2020年1月)

特集 日常に潜む接触皮膚炎

Editor's eye 浅井 俊弥
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 接触皮膚炎の診療は臨床診断および治療だけでは完結せず,あくまでも原因となった化学物質等の同定が必須である.そのためにパッチテストなどの皮膚科的検査を行うことになるが,接触源の分析,調達法,試薬の調整,濃度,openかclosedかなど,判断に迷うことが多い.今回はこの点に注目して症例報告を読んでみることにした.

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 日常生活で接触する頻度の高い家庭用品が原因となる皮膚炎を,家庭用品接触皮膚炎という.原因物質の特定がなされ,それを回避することが,症状改善につながる必要最低条件となる.詳細な問診を行うことに加え,パッチテスト(PT)を実施することは,原因特定のために有効な手段として重要である.製品PTを行い,その結果からさらに成分PTを行うことで,さらに詳細な原因究明ができる可能性がある.成分PTの実施に際しては,製造販売元の協力や独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の協力が必要となる.

(「はじめに」より)

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 美容師は日々洗髪,カット,染毛,パーマなどの手作業を繰り返し行っている.洗浄剤を用いて頻回に行われる水仕事は乾燥,亀裂,角化を主体とする刺激性皮膚炎を高頻度に生じる.その一方で,美容師の職場には染毛剤,パーマ剤,シャンプー,ヘアオイルなどの頭髪用品,ハサミなどの金属製品,手袋や輪ゴムなどのゴム製品など接触原となりうる多くの製品が存在しており,染毛剤に含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)に代表される職業関連アレルゲンによるアレルギー性接触皮膚炎を生じることも少なくない.職場環境に多くのアレルゲンを抱える美容師の職業性接触皮膚炎の診療においては積極的にパッチテストを行い原因となるアレルゲンを明らかにすること,さらにはその結果に基づく適切な生活指導を行うことが皮膚科医に求められる.今回われわれは当院にてアレルギー性職業性接触皮膚炎と診断した美容師21症例について,その臨床症状およびパッチテスト結果を検討したので報告する.

(「はじめに」より)

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・当初,光線過敏型皮膚炎を疑った毛染め皮膚炎男性例を経験した.

・毛染め皮膚炎は,頭皮には皮疹がなく,顔面や耳介,手指に皮疹が目立つ症例もある.

・近年では男性でも毛染めをすることはまれでなく,毛染め皮膚炎は男性においても鑑別診断として重要である.

(「症例のポイント」より)

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・酸化染毛剤による接触皮膚炎症候群を経験した.

・職業性接触皮膚炎であることより,アレルゲンの接触を避けることが困難であった.

・職業性接触皮膚炎の皮膚障害とその予防の重要性について啓発が必要である.

(「症例のポイント」より)

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・リストバンドによりアレルギー性接触皮膚炎を生じた症例を経験した.

・製品分析,パッチテストにより,2-(2-hydroxy-5-methylphenyl)benzo-triazole (Tinuvin-P)が原因であることが判明した.

・Tinuvin-Pは紫外線吸収剤としてさまざまな有機高分子化合物に添加されており,注意が必要である.

(「症例のポイント」より)

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・ネイリストに生じたジェルネイルによる職業性接触皮膚炎を経験した.

・原因となるアクリレートは2-HPMAであった.

(「症例のポイント」より)

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・ヘッドホン「え~パンダ」による接触皮膚炎を経験した.

・イヤーパッドによるアレルギー性接触皮膚炎が疑われた.

・ヘッドホンの1時間着用にて,紅斑が生じるようになった.

(「症例のポイント」より)

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・プロベナゾールによる接触皮膚炎症候群を疑った1例を経験した.

・患者は製造元の職員であった.

・接触範囲である手指以外の大腿や腋窩にも紅斑を認めた.

・抗原を避け,very strongクラスのステロイド外用にて症状は改善した.

(「症例のポイント」より)

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・エポキシ樹脂はさまざまな特性と,取り扱いやすさから,幅広い分野で使用されており,日常的に接することの多い有機溶剤である.

・今回われわれはエポキシ樹脂による職業性接触皮膚炎を経験した.

・職場の配置転換や生活指導により皮疹は改善した.

(「症例のポイント」より)

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・自験例は市販の乳液により顔面,頸部の接触皮膚炎を生じ,パッチテストにより乳液に含まれたヒドロキシステアリルアルコールまたはヒドロキシステアリルグルコシドを原因物質と同定した.

・ヒドロキシステアリルアルコールあるいはヒドロキシステアリルグルコシドによる接触皮膚炎の報告は調べたかぎりではこれまでに認めていない.

・アルキルグルコシドが新たなアレルゲンとして昨今注目されており,自験例においてはヒドロキシステアリルグルコシドが感作性を有した可能性を考えている.

(「症例のポイント」より)

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・パッチテストで陽性であったイソチアゾリノン系防腐剤を含まないシャンプー剤などに変更したところ,全身の皮疹は消褪した.

・イソチアゾリノン系防腐剤含有製品の使用部位(頭皮)の皮疹は軽度であり実際の皮疹部位(体幹・四肢)とは一致しなかった.

(「症例のポイント」より)

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・アミノキノリン誘導体による職業性接触皮膚炎症候群の1例を報告した.

・診断のための検査は,オープンテストと48時間クローズドパッチテストで行った.

・検査濃度は,農薬の皮膚テスト濃度を参考に決定した.

・症例はニトロキノリン誘導体で感作成立し,アミノキノリン誘導体で惹起されたと考えた.

・特殊な物質を扱うときには,物質の危険性を理解し,十分な防護が重要である.

(「症例のポイント」より)

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・眼鏡フレームに含まれたSolvent Orange 60(SO60)によるアレルギー性接触皮膚炎の症例を経験した.

・使用開始の約3週間後に耳介上部,頬部に紅斑を生じ,眼鏡フレームの削り屑およびSO60がパッチテスト強陽性であった.

・眼鏡フレームの抽出液の成分分析にてSO60が検出された.

・使用していた眼鏡フレームは量販店で購入した中国製のもので,メーカーから原料に関する正確な情報は得られなかった.

・プラスチックフレームの眼鏡は増えており,眼鏡フレームの接触皮膚炎を疑う場合はフレームの削り屑とともにSO60のパッチテストも行うべきである.

(「症例のポイント」より)

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・一般用(over-the-counter:OTC)外用薬に含有されたイソプロピルメチルフェノールによるアレルギー性接触皮膚炎の1例を報告した.

・イソプロピルメチルフェノールは,OTC医薬品や医薬部外品および化粧品に広く含有されている殺菌・防腐・防カビ剤である.

・本剤によるアレルギー性接触皮膚炎の報告は,疑い例も含めて本邦で4例のみであるが,成分パッチテストを行えば症例は増えるものと思われた.

(「症例のポイント」より)

Editorial

学会ハイライト

私の視点

疾患気質 馬渕 智生

日常診療に役立つ豆知識

リレーエッセイ 私のワークライフバランス

案件から学ぶ医療事故の対策と問題点

皮心伝心

診察室の四季

初詣 斉藤 隆三

皮膚科のトリビア

第175回 浅井 俊弥

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目次

次号予告

基本情報

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皮膚病診療
42巻1号 (2020年1月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

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